こんにちは!サムライトYouTube lab.の川田です。
YouTubeをマーケティングに活用する企業が増えていますが、数えきれない動画がYouTube上に溢れる今、動画コンテンツを投稿するだけでは検索結果に表示される確率は非常に低く、検索を通してYouTubeユーザーとの接点を持ち、再生回数を増やしたりYouTubeチャンネルをグロースさせることが難しい状況となっています。
そこで重要となるのが、YouTube検索への最適化(YouTube SEO)です。
WebページのSEOでおなじみのGoogleも、YouTubeも、検索しているユーザーが本当に求めている情報やコンテンツを提供することを目指しているわけですが、GoogleのSEOとYouTubeのSEOではプラットフォームの仕組みやコンテンツの形態が異なるため、YouTubeチャンネル運用に取り組む際は、YouTube SEOの仕組みを正しく理解・習得しておく必要があります。
本記事では、YouTube担当者のみなさまに必ず押さえておいていただきたいYouTube SEOの全体像と考え方について解説していきたいと思います。
目次
YouTubeのアルゴリズムの仕組み
YouTube SEOを適切に実施するために、まずはYouTubeのアルゴリズムを正しく理解しておきましょう。
Google検索とは異なり、YouTube検索のアルゴリズムでは「ユーザーの興味関心」と「動画のパフォーマンス」に基づいて動画の表示順位を決定しています。
Google社はその詳細は明らかにしていませんが、ランキングに影響する主な要素としては以下が知られています。
・SEO対象キーワードの検索意図に対して動画の内容(メタ情報)がマッチしているか
・キーワード検索しているユーザーがこれまでどのような動画/チャンネルを視聴したか
<動画のパフォーマンス>
・動画の総再生時間
・サムネイルのインプレッション(表示)回数に対するクリック率
・動画に対するエンゲージメント(評価やコメント、チャンネル登録数など)
つまり、YouTube SEOはこれらの要素を向上させていく取り組みと言い換えることができます。
YouTube SEOの5つのステップ
それではここから、サムライトが独自に実施したユーザー調査(以下、ユーザー調査)の結果も踏まえながら、YouTube SEOの進め方について5つのステップに分けて解説していきます。
※ユーザー調査の結果とそこから考察されるYouTubeチャンネル運用のポイントをまとめたホワイトペーパーはこちらからダウンロードいただけます。
【YouTubeチャンネル運用成果のカギを握る若年層ユーザーの4つの視聴動向<調査レポート>】
0. ターゲットユーザーを理解する
ターゲットを理解することは、マーケティングの基本中の基本であり、企業がYouTubeチャンネルを運用する上でも重要な出発点となります。
いわゆるSEOよりも手前のステップですが、忘れてはいけない視点なので、本題の前に触れておきたいと思います。
ターゲットユーザーを正しく理解していないと、次項から説明していくキーワード選定や検索意図の理解、そしてそれらに基づく良質なコンテンツの企画・配信が実現せず、動画タイトルやタグといったテクニカルな部分をどれだけ工夫しても、YouTube SEOの効果は期待できません。
特に若年層ユーザーにおいては、再生回数やトレンドに影響されることなく、自分が見たい動画を自分で選んで視聴する傾向が強いことがユーザー調査から明らかになっていることからも、アプローチしたいペルソナ像を詳細に定め、ターゲットペルソナの興味関心や行動パターンを深く理解することがYouTube SEOの最初のポイントであると考えています。
ターゲット理解には様々な手法がありますが、YouTube SEOにおいては、TUBERSのようなYouTubeに特化したマーケティングツールを利用し、ターゲット層がYouTubeで実際にどのようなチャンネルや動画を好んで視聴しているかを把握することも、ユーザー理解を深める上で有効です(参考)。
1. キーワードを選定する
ターゲットユーザーをしっかり理解した上で、YouTube SEOとして最初に行うのが、キーワードの選定です。
企業がYouTubeチャンネルを運用する際は、ターゲットのニーズや企業の情報資産に基づいて、チャンネルのコンセプトやチャンネルキーワード(3個程度)を設定します。チャンネルキーワードにはそのチャンネルのジャンルやテーマを表すビッグキーワードを選びます。
各動画コンテンツのキーワード選定においては、チャンネルキーワードを軸に据えることが基本となります。チャンネル内の動画で一貫性をもってそのキーワードを扱っていくことで、そのチャンネルがどのような情報を提供するチャンネルなのかがYouTubeの検索エンジンにしっかり認識され、チャンネル全体でSEOが強化されていきます。
軸となるキーワードが定まったら、サジェストキーワードや各種キーワードツールをもとに、具体的なキーワード候補を洗い出し、検索ボリュームや競合優位性などをもとに、実際に動画を制作するキーワードを絞り込んでいきます。
最近では、ユーザーニーズの多いテーマにおいて、Googleの検索結果でもYouTube動画が上位に表示されるケースが増えています。Googleの検索結果に表示されればより多くの流入が期待できることから、キーワードを絞り込む際は、Googleでの検索結果も確認してみることもポイントです。
2. 動画コンテンツを企画制作する
キーワードを選定したら、次のステップは動画コンテンツの企画制作です。
ここでもっとも重要なのは、選定したキーワードの検索意図にしっかり応える企画構成にするということです。上述の通り、これは検索のランキングを決める主要な要素のひとつです。
キーワード自体は単語の羅列ですが、その背景にある検索意図(ユーザーは何を知りたいのか、何をしたいのか)を正しく理解しなければ、それに応える動画は制作できません。検索意図を理解するには、現時点でそのキーワードで上位に表示されている動画を研究するのが近道です。どのような点がユーザーに支持されているのかを分析し、企画構成の中に取り入れることで、検索意図に十分に応える動画を目指しましょう。
以上を大前提としつつ、YouTube SEOの観点から動画のパフォーマンスを向上させるためのポイントを2つご紹介しておきます。
Point 1 視聴継続
先に述べたように、動画の総再生時間もランキングに大きく影響します。そのため、早期離脱を防ぎ、できるだけ長く視聴してもらうための企画や工夫が求められます。
多くの人が離脱しやすい冒頭の10〜15秒で視聴者の心をぐっと掴み、もっと見たいと思わせる工夫や、途中で飽きさせないストーリー展開などが重要となります。
Point 2 エンゲージメント
評価やコメント、チャンネル登録などのエンゲージメントもYouTube SEOにおいては重要です。
視聴ユーザーが活発にコメントを交わすような企画を立てたり、コメントに対してハートをつけるなど、双方向のコミュニケーションによってエンゲージメントの獲得を目指しましょう。
またカードや終了画面を活用してチャンネル登録を促すことも忘れずに行います。
3. 動画コンテンツのメタデータを設定する
動画コンテンツが完成し、YouTubeに投稿する際に重要になるのが、YouTubeの検索システムに動画の内容を伝えるための、メタデータを中心とする各種情報の設定です。各要素について要点を解説していきます。
・タイトル
動画のタイトルは動画の内容をユーザーや検索システムに知らせる重要な要素です。敢えて伏せたり抽象的にしたりせず、ターゲットキーワードやフックとなるコピーを含めながら明確で興味を引くタイトルを作成します。
ただし、動画の再生回数を増やすために、過剰な誇張や”あおり”のあるタイトルでユーザーの関心を引いてクリックさせるのは避けましょう。ユーザー調査では、半数以上のユーザーが、タイトルから期待される内容でなければ早々に離脱すると回答しており、動画視聴時間が短くなることでSEOの面でマイナスの影響を与えることなります。
・サムネイル画像
タイトルとともに重要なのがサムネイル画像です。
動画の内容を伝えるタイトルと、視覚的に訴求力が高いビジュアル要素であるサムネイル画像をうまく連動させることで、動画の魅力をより的確にアピールし、表示ランキングを左右するクリック率の向上を目指すことができます。
なお、ユーザー調査によると、動画の「出演者」によって視聴する動画を決めるユーザーも比較的高い割合でいるため、ターゲットユーザーの支持を得る出演者をアサインしたら、サムネイルでも顔のアップをしっかり見せることで、興味を引くことができると考えられます。
・説明文
動画の下に表示される説明文は、動画のより詳細な内容をユーザーや検索システムに伝える重要な役割を持ちます。
ターゲットキーワードや遷移させたいリンクなども適宜含みながら、動画の内容を簡潔に紹介しましょう。5000文字まで入力できますが、不必要な内容や無関係な内容を書くとSEOの面では逆効果となります。
また長尺の動画や、複数のセクションに分けられる動画の場合は、説明文の中にタイムスタンプを記載することで簡単にチャプタを作成することができます。学習系のコンテンツなどではタイムスタンプを活用することでユーザー体験が向上します。
・タグ
タグは、動画のジャンルを検索システムに伝えるものです。ユーザーからは見えませんが、関連動画への表示に影響すると言われているため、ターゲットキーワードや関連ワードなどをタグとして必ず設定しましょう。
仕様上ではタグ数の上限はありませんが、多すぎるとペナルティを受ける可能性もあるため、5〜10個程度におさめます。
・字幕
耳が聞こえない人でも動画の内容がわかり、アクセシビリティが向上するという意味で字幕の付加が推奨されていますが、検索システムが動画の内容を理解する文字情報のひとつとなるため、SEOの観点でも字幕は有効だと言われています。
現時点でのYouTubeの日本語の自動字幕は残念ながら精度が低いため、できれば正確な字幕を改めて設定することをおすすめします。YouTubeの管理画面で映像を見ながら直接入力する方法と、字幕ファイルをアップロードする方法があります。
・ハッシュタグ
YouTubeでも他のSNSと同じようにハッシュタグを使うことができます。ユーザーはハッシュタグを通して関心のあるコンテンツを探すことも多いため、ハッシュタグの設定も忘れずに行います。
ひとつの動画には最大15個のハッシュタグを設定でき、最初の3つは動画のタイトルの上に、残りは説明の下部に表示されます。そのため、最初の3つはチャンネル名やブランド名、ターゲットキーワードを選び、4つめ以降は関連キーワードなどを設定すると良いでしょう。
4. 動画のパフォーマンスを分析し改善する
YouTube SEOは動画を投稿して終わりではなく、その後のパフォーマンス検証や改善アクションも重要です。この点においてはGoogleのSEOと変わりません。
YouTubeアナリティクスなどを用いて、主に以下の観点から分析改善を行っていきます。
・これまでのSEOの成果を把握する
流入経路や検索キーワードがわかる「トラフィックソース」から、検索からどの程度のボリュームの流入を獲得できているのか、狙ったとおりのキーワードで流入しているのかなどを確認します。
もし狙いとは異なる結果となっていた場合は、その原因を特定し、メタ情報を更新したり、新しいコンテンツを投稿するなどの対策を検討します。
・ 公開済みの動画から、高いパフォーマンスをあげている動画の傾向を掴む
以下のような指標において高いパフォーマンスをあげている動画を分析し、その要因を探ります。
(例)
・再生回数や視聴者・・・どの動画がアプローチしたいターゲット層に多く視聴されているか?
・クリック率・・・どのようなタイトルやサムネイルがターゲットに刺さっているのか?
・平均再生時間や視聴者維持率・・・視聴を継続/離脱させている要因とは何か?
このような分析から得たポイントを、今後制作する動画に取り入れていきます。
YouTubeチャンネル運用の成果獲得に不可欠なYouTube SEO
以上で、YouTube SEOの全体像をご理解いただけたでしょうか?
同じ”SEO”でも、ご紹介してきた通りGoogle検索とは仕組みが異なり、YouTubeならではのポイントが数多くあるため、YouTubeチャンネルの運用を担当される方は早いうちにまずその仕組みや考え方を理解しておくことをおすすめします。
加えて、アルゴリズムや各種機能は今後アップデートされる可能性もありますので、YouTubeというプラットフォームに関する最新情報にアンテナを張っておくことも大切です。
YouTube SEOはやるべきことや気をつけるべきポイントが多く、手間も時間もかかる一方で、残念ながらすぐには結果が出ません。まずは動画の総再生時間が一定規模に達しないと検索上位には表示されないため、結果が出るまでどうしても時間がかかるのです。しかし何も対策をしないよりも確実にプラスの効果があるため、チャンネル運用の一環としてコツコツ取り組んでいくことが重要です。
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