SNSマーケティングにおいて依然として存在感を高めているInstagramですが、ビジュアルや世界観が重視されるといった特徴があることから、アカウントを立ち上げてみたものの思ったように成果を得られずに行き詰まってしまう企業も少なくありません。
そこで今回は、Instagramアカウント運用の成功に向けたヒントを探るべく、これまで約半年間におよぶInstagram運用で、毎月1,000人のペースで新規フォロワーを獲得するなど着実に成果を上げてきている株式会社NOYES様とサムライト担当者へのインタビューを敢行!
どのような目的でInstagramを活用し、目標達成に向けてどのような運用方針やコンセプトを導き出したのか、またその具体的な成果について詳しく聞いてみました。
目次
リスティングに代わる新しい施策を探していた
――まずNOYESというブランドについて簡単にご紹介いただけますか?
牧様:この4月に設立18年目を迎えるNOYESでは、ECが普及しはじめた頃からずっとソファ専門でオンライン販売を続けています。実は兄がソファを作っており、弟の私が販売を担当するというコンセプトなんです。創業3年目頃には実際に商品を見てみたいというお客様の声が増えてきたため、名古屋の本社を皮切りに、東京、大阪、仙台にショールームも構えています。
弊社には「椅子張り技能検定1級」という国家資格を持つ職人が15名以上在籍しており、ソファづくりには強いこだわりと誇りを持っています。ソファしか販売しないという点もNOYESのこだわりですね。
株式会社NOYES 代表取締役 牧 謙次郎様
――ソファづくりに国家資格があるとは知りませんでした!品質へのこだわりがうかがえます。
サムライトでは2019年9月よりNOYES様のInstagramアカウント運用などを支援させていただいていますが、その前にはどのようなマーケティング施策を展開されていたのでしょうか?
牧様:創業時からずっとリスティング一本でした。一時期止めてみて影響の度合いを見たり、社内で運用していたものを外注してみたりと、色々試してもみたのですが、そろそろリスティングの限界が見えてきたので、何か新しい施策を検討したいと考えてサムライトさんにお問い合わせしました。
小野:最初はオウンドメディアについてのご相談という形でお問い合わせをいただいたんですよね。
――そうだったんですね!そこからどのような経緯でInstagram運用支援に変わったのでしょうか?
小野:NOYES様が自社で運用されているホームページ兼ECサイトがすでにとても充実されていました。新しい施策を探されていたということもあり、完成されたオウンドメディアに対してさらに何かするというよりは、リスティング以外のサイトへの流入経路を増やしたり、検索行動にはまだ至っていない潜在層にアプローチできる施策の方が良いのではと最初に考えました。
元々Instagramアカウントもお持ちだったのですが、特に戦略的に運用されてはいないということも同時にお聞きしていたので、サムライトからはInstagramを活用した施策をご提案させていただきたいと牧さんにお願いしたんです。
サムライト株式会社 コンテンツマーケティング事業本部 小野 孝幸
――Instagram運用という、想定とは違うアプローチのご提案でしたが、どう思われましたか?
牧様:当時も、Instagramを見てショールームに来店されるお客様が確かに増えているという実感はありました。私自身はよく分かりませんが、若い人たちは今、Instagramで検索すると聞きますしね(笑)
ですので、小野さんに初めてお会いしたときにInstagram活用やUGCのお話を聞いて、新しい突破口として確かに”アリ”だなと。すごく良いご提案をいただけたので、リスティングを一切やめて御社とご一緒するのがご縁かなと思ったんです。
戦略的なコンセプト設計と、世界観を重視した丁寧な運用
――うれしいお言葉、ありがとうございます!
それでは、具体的にどのような戦略でInstagramアカウントを運用しているのでしょうか?
藤澤:NOYES様を知らない潜在層にアプローチしていくためには、ソファという商品の訴求だけでなく、”暮らし””生活”といったもっと大きなテーマに広げて、現時点でソファを検討していない方たちにも興味を持ってもらえるアカウントにしようとまず考えました。
一方、職人さんやショールームのスタッフさんのソファに対する熱い想いもきちんと伝えていくべきだと思いました。
そこで、「ていねいな暮らし」というコンセプトを立てて、ソファに限らず豊かな生活を取り巻く様々なものを通してNOYES様の世界観を表現していくという方針をご提案しました。
具体的には、実際のお客様によるソファのお写真や、コンセプトに合致するUGCを中心に投稿しています。ソファ商品を紹介する投稿もありますが、単なるスペック訴求ではなく、NOYES様や職人さんたちの想いが伝わるような投稿文を心がけています。
投稿への反応も毎月丁寧に振り返って、投稿の見せ方や頻度、ハイライトのテーマなどもこまめにチューニングするようにしています。
https://www.instagram.com/noyes_sofa100/
――KPIはどのように設計していますか?
藤澤:1年かけてアカウントを育てていく計画なので、KPIもフェーズごとに変わっていきます。第一フェーズにあたる今は「フォロワー数」や「ハッシュタグ経由の流入数」などを追っていますが、フェーズが進むにつれて、KGIである「Instagram経由の成約(ソファ購入)」により近い指標となる「商品クリック率」「サイトへの遷移数」などを見ていくことになります。
――広告配信も支援していますよね。
小野:現在、InstagramとFacebookで広告を運用しています。「成約」が最終ゴールではありますが、比較的高額なソファをすぐに購入してもらうのはあまり現実的ではないため、生地サンプルやカタログの請求、コーディネート相談の申し込みなどを目標CVとして最適化しています。
運用開始当初はソファ商品を訴求するクリエイティブでしたが、Instagramアカウントの世界観との乖離が出てきてしまったので、ブランディング寄りのクリエイティブに変更するなどして一定の成果をあげてきました。
今後は、4月に新しくできる銀座ショールームでの「接客予約サービス申し込み」を目標に運用していく計画です。
運用ノウハウを習得しながらKPIを順調に達成。来店促進にも貢献
――初期戦略を含め、弊社のアカウント運用をどう評価されていますか?
池松様:御社にお願いする以前は特に戦略もなく運用していましたが、フォロワー数は徐々に伸びて7,000ほどになっていましたので、2020年2月末までに10,000フォロワーを越せばいいかなと自分なりの目標を掲げてはいました。
そんなときにサムライトさんのご提案の話を牧から聞いて、ただカッコいい写真を載せるのではなくて、しっかり目標を設定して、世界観を持って戦略的に運用することの大切さを学ばせていただきました。
例えばハッシュタグひとつにしても、以前はブランド名や商品名など自分たちで決めた定型のハッシュタグを付けるだけでした。スモールワードを戦略的につけるといった知識もなかったので、そのようなテクニックも色々勉強させてもらっています。
なんといっても、「ていねいな暮らし」なんていうコンセプトは自分だけでは絶対にたどり着けませんでした。斜め上をいく素敵さですよね(笑)。お願いして本当に良かったと思っています。
おかげさまでフォロワー数は12月末時点で11,000を超えました。
株式会社NOYES 秘書室 副室長 池松 正敏様
小野:毎月1,000人のペースで増えてきているので、正直、私もその速さに驚いています。
牧様:アウトプットのセンスがすごく良いんですよね。いつもとても良い切り口をご提案いただきますし、投稿写真のセレクトも素晴らしいなと。
つい先日もフォロワーさんから「すごいいい写真ですね」といったコメントをもらいましたよね。嬉しくて思わず自分で返信してしました(笑)
小野:牧さんがご自身で反応されていたので驚きました!
――フォロワー数以外でInstagramの成果を感じることはありますか?
池松様:ショールームでも法人向け販売会でも、「Instagram見ました」「フォローしてます」というお声は確実に増えていますね。
NOYESを知らなければホームページにもショールームにも来ていただくことはできませんので、NOYESのソファを知っていただくきっかけづくりとしても、Instagramアカウントを運用していて本当に良かったなと思っています。
牧様:もうしばらく様子を見ないと正確には判断できませんが、これまでリスティングで獲得していた検討層が、Instagramに切り替えたあとも減っていないという印象を持っていますので、まずはこのままアカウントを継続していきたいですね。
今後もコンセプトを軸にコンテンツの幅を広げていきたい
――今後新たに計画している取り組みなどはありますか?
池松様:10,000フォロワーを超えてスワイプできるようになったので、ストーリーズをもっと活用していこうとお話ししているところですね。
藤澤:私はUGCを発生させるような仕掛けをもっと考えていきたいです。
アカウント側から「NOYES良いよ」と発信し続けることももちろん大事ですが、ファンの方のリアルな想いがこもった投稿は大きな影響力を持っています。先日も、15万人ほどのフォロワーを抱える方がタグ付けで投稿してくださり、その日のうちに300フォロワーほど増えました。PR投稿ではなくオーガニックだったからこその結果だと思っています。
NOYES関連のハッシュタグがついたUGCはこれまでも着実に増えてきているのですが、それをもう少し戦略的に増やしていくような取り組みを、ストーリーズの活用とあわせて進めていく予定です。
サムライト株式会社 コンテンツマーケティング事業本部 藤澤香菜
――ブランドストーリーやコンテンツを社内にたくさんお持ちなので、動画コンテンツなども相性が良さそうですね。
藤澤:Instagramではソファのカバーの取り付け方などを紹介するHowTo動画などにもトライしてみたいと思っています。
小野:あとは、NOYESさんのブランドアンバサダーを数名立てて、その方々に実際にソファを使っていただいたり、ファンミーティングのようなイベントを企画して、熱量をどんどん高めていくといった取り組みもできるといいなと個人的には思っています。
牧様:「ていねいな暮らし」というコンセプトは、本当にいい切り口だと思っているんです。おかげさまでそれがじわじわとブランドイメージとして定着してきている気がするので、そこを中心に置きつつ、例えば他のSNSでも展開するなど、潜在層を作るという視点でマーケティングを強化していきたいと思っています。
実は2020年はNOYESにとって大きな変革の年なんです。銀座の新しいショールームもそうですし、サービスの変革も色々と計画しています。それに乗じて(笑)マーケティングでも色々チャレンジしていきたいという考えが自分の中にありますので、サムライトさんには今後も色々とご提案いただけると嬉しいです。
――本日は名古屋からお越しいただき、貴重なお話をありがとうございました!
戦略的なコンセプト設計がInstagram運用のカギ
今回のインタビューで特に印象的だったのが、NOYES様らしさを表現しつつ、アプローチしたい層を取り込むためのコンセプトや世界観が戦略的に設計されていた点です。
Instagramは、その世界観への共感を得ることで新規ファンを獲得しやすいプラットフォームと言えますが、アカウントではその世界観がぶれることなく表現され続けることが求められます。
サムライトが以前実施した調査でも、「ビジュアルや世界観が好きではなくなったとき」にアカウントフォローをやめると答えたInstagramユーザーが30%もいました。
※調査レポートはこちらからダウンロードいただけます
「20〜30代⼥性Instagramユーザーのホンネ」
そのため、NOYES様の事例のように、ロジックに基づくコンセプトや世界観がきちんと言語化され、関係者間での共通認識として共有されていること、そしてアカウント上でもしっかりとそれが体現され続けることが、Instagram運用の成否を左右する重要なポイントのひとつと言えそうです。
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