サムライト代表が語る!2021年のコンテンツマーケティングで押さえておくべき4つの潮流


2020年は新型コロナウイルスによって世界の様相が一変し、いまだ終息の見通しが立たない中で2021年がスタートしました。

「続くコロナ禍で生活者の行動やマインドはどう変わっていくのか?」
「どのようなマーケティング施策が有効なのか?」
「マーケティングの世界で新しい動きはあるのか?」

など、マーケティング担当者にとっては、 2021年のマーケティングをどのように取り組んでいくべきかを考えるヒントが欲しいところだと思います。

そこで今年最初のSOME MEDIAでは、これからのコンテンツマーケティングの手がかりを探るべく、サムライト代表の池戸にインタビューを実施しました。

池戸が2021年の注目領域として語ったのは、以下の4つのテーマでした。

・YouTubeの競争激化
・共有体験市場の勃興
・リーチ至上主義からの脱却
・音声元年

気になるワードがたくさん並んでいますね……!早速そのインタビューの模様をお届けします!

コロナ禍でコンテンツマーケティングがますます重要な意味を持つ

──本題に入る前に、昨年から続く社会の変化は、2021年のコンテンツマーケティングにどのような影響を及ぼすと思われますか?

2021年も引き続き、マーケティング業界は新型コロナウイルスの影響を大きく受け、昨年以上にマーケティングのデジタル化に向き合うことになるでしょう。

生活者のオンラインでの情報消費や購買活動が加速することで、オンライン上のプレゼンスの強化や顧客とのつながりの形成がますます重要なテーマとなっていきます。

しかしこれまでのマーケティング主流であった、広告やキャンペーンといった一過性の施策だけでこれらを実現するには限界があります。

そこで、ソーシャルメディアでいうフォロワー、オウンドメディアでいうコンテンツのように、「資産化できる施策」「マーケティングの”地力”を高める活動」であるコンテンツマーケティングの重要性が再評価され、投資を加速させる動きは間違いなく継続すると見ています。

マーケティング投資全体に対してのコンテンツマーケテイングのシェアはまだまだ小さいのが現実ですが、コンテンツマーケティング施策のプレゼンスが高まっていくことは確実でしょう。

潮流① 競争が激化するYouTube。今後求められるのは「企画と演出」

──ではいよいよ本題である2021年のトレンドに移りたいと思います。まずは多くの方が関心を持たれているYouTubeの動向に関して詳しく聞かせてください。

昨年のトレンド予想のひとつに、”YouTubeチャンネルのオウンドメディア化”を掲げていましたが、想定外のコロナ禍も相まって、toB、toCを問わず、2020年は多くの企業がチャンネルを開設しました。

それと同時に、タレントやスポーツ選手など多くの著名人がYouTubeに参入し、ユーザーを強烈に惹きつけるパワーコンテンツも多く生まれました。

YouTube全体の視聴者数や視聴時間も伸び、ますます盛り上がりを見せているわけですが、YouTubeにおける可処分時間の奪い合いが激化しているのも事実です。企業がチャンネルを開設したものの、視聴数や視聴時間、チャンネル登録者数が伸びないというケースも増えています。

そのため2021年のYouTubeマーケティングでは、”どのようにコンテンツやチャンネルを差別化するか”、”どのように見つけてもらうか”がより重要になってくるでしょう。すなわち「コンテンツ」に改めて向き合う必要が高まっているのです。

──YouTubeではどのようなコンテンツが有効だと思われますか?

YouTubeがここまで広く市民権を得たのは、ユーチューバーやインフルエンサーの存在あってのことだと思います。つまり、YouTubeでは「あの人が発信する動画が見たい」というように”人”に紐付くコンテンツの存在が大きいのです。

今後も引き続き、「人」を軸とするコンテンツが強い影響力を持つと思いますが、その上でさらに見てもらうための差別化要素として「企画」と「演出」を掛け合わせる重要性がより増してくると考えています。

例えば、中田さん、宮迫さんの取り組みを見てみると、YouTube動画とは思えないテレビ番組も顔負けのリッチさ、企画演出に仕上がっています。

これくらい予算をかけようという意味ではなく、全ての企業及びチャンネルが、ユーザーを惹き付けるために企画や演出にもっと目を向ける必要があると捉えていただければと思います。

サムライトでは、インフルエンサーをブランドアンバサダーとして起用し、企画や演出のプロである放送作家がそのアンバサダーを生かすYouTubeコンテンツを生み出す、というサービスを提供していますが、2021年はよりその価値を感じていただけるよう取り組んでいくつもりです。

潮流② LIVEを中心とする「共有体験市場」の勃興

──YouTubeとともに昨年注目を集めたのがライブ配信でした。2つめのテーマである「共有体験市場」について詳しく教えてください。

人は誰しも、自分の経験や感動をほかの人と共有したいという欲求を潜在的に抱えていると思います。しかしコロナによって人々は物理的に分断されてしまった。そのため、同じ体験を通して誰かと一緒に盛り上がりたい、語り合いたい、感動したいという欲求が増幅されているのが今の状態だと考えています。

そんな欲求に応えるために生まれたのが、デジタルやテクノロジーを使って”その瞬間に同じ体験を共有する”サービスやコンテンツです。それらを我々は総じて「共有体験市場」と呼んでいますが、今年はメディアやマーケティングなど様々なシーンで「共有体験市場」が注目される1年になると思います。

──その代表例がライブ配信ですね。

ライブ配信自体は以前から存在していましたが、昨年コロナをきっかけに、ライブ配信をする人も見る人も一気に増加し、デジタル上での市民権を得ました。各種プラットフォーマーがライブ配信機能を強化したこともあり、企業による活用も増えてきました。

2021年はライブ配信が本格的にマーケティング施策に組み込まれ、”いま視聴する理由づくり”、つまり、どのように共有体験を提供するか、というテーマで各社がライブコンテンツの開発に注力していくことなると予想しています。

──サムライトでも昨年秋頃からライブ配信イベントを実施していますが反響はいかがですか?

我々が運営している「2.5ジゲン!!」というメディアが主催するという形で、舞台俳優さんに出演いただくライブ配信イベントを何度か実施しましたが(レポート記事はこちら)、確かな手応えを感じています。そこで生まれる参加者の熱量やコミュニティ上のつながりの強さには我々も驚いているところです。

体験の共有という面だけでなく、”つくられた世界”に飽きてきている昨今の生活者にとって、ライブならでの”ナマ感”や飾らない素顔の価値が高まっていることも、コンテンツとして愛される要因になっていると考えています。

──エンターテイメント業界では、テクノロジーを駆使して一歩進んだ共有体験を提供する事例も出てきています。

ご存じの方もいると思いますが、RADWIMPSが昨年12月に「SHIN SEKAI」というバーチャルライブを開催して話題となりました。

「ロールプレイング・ミュージック」と称されるこのイベントでは、専用アプリの中でバーチャルパークシステム(VARP)を使用してRADWIMPSの楽曲の世界の主人公となり、世界中のファンと一緒にその物語を体験できるというものでした。

ユーザー同士のチャット機能はもちろん、ユーザーたちが力を合わせて大きな扉を開けたり、楽曲に合わせて一緒に拍手したりと、リアルタイムで様々な体験を共有できる仕掛けが用意されており、バーチャルならではの体験の大きな可能性を感じました。

▼「SHIN SEKAI」ティザー動画

潮流③ リーチ主義からの脱却。これからは「エンゲージメント」そして「コミュニティ」へ

──オンラインであっても、リアルに負けない体験価値を提供できる可能性があるということですね。では続いて、3つめのテーマである「リーチ主義からの脱却」について聞かせてください。

ソーシャルメディアマーケティングにおいては、フォロワー数がもっとも分かりやすい指標であり、多くの企業がフォロワー数、つまり「量(リーチ)」を最重要指標として設定しています。同時に、ソーシャルメディア上におけるキャンペーン施策は、フォローやリツイートに対してインセンティブを提供することでフォロワー数を伸ばす施策が主流と言えます。

しかしこれからは「量より質」「フォロワー数よりエンゲージメント」に向き合うことが求められていくと考えています。

昨年、Instagramの規約が変更され話題になりましたが(参考記事)、これは象徴的な出来事でしたね。フォローやリツイートの数だけを追うのではなく、ユーザーとの関係性やその中身に向き合いましょう、というプラットフォーム側からのメッセージだと思っています。

──普段の施策の中でエンゲージメントに向き合うには具体的にどうすれば良いでしょうか?

企業にとってはリーチ規模やフォロワー数が重要になるシーンももちろんありますが、そうした量の視点だけでなく、エンゲージメントやコミュニティの濃度をものさしとするKPIもしっかり設計することが必要だと思います。

これまでもエンゲージメント指標として保存数や「いいね」、コメントなどがKPIとして設定されてきたと思いますが、もう一つの指標として、企業がオリジナルで設定しているハッシュタグの投稿数が今後重要な意味を持つようになると考えています。

ハッシュタグはすなわち、共通のインタレストの表れです。オリジナルのハッシュタグが媒介となり、ファン同士がつながり、熱量のあるコミュニティが生まれる。そんな世界を目指したいですね。

──コミュニティの重要性も昨今よく取り上げられますね。

スタートアップの世界では、PMF(プロダクトマーケットフィット)のタイミングで「100人が何となく評価するもの」より「1人が熱狂するもの」をつくるべし、というセオリーがありますが、マーケティングにおいてもまさに同様だと考えています。

特にコロナ禍においては、オンライン上での“つながり”やコミュニティが1つのキーワードになってきます。連続的なエンゲージメントの獲得とファン創出の先に、企業を媒介としたユーザー同士のつながりが形成され、熱量の高いそのコミュニティがやがてブランドに収益をもたらすはずです。

コミュニティづくりを目指す際は、「ブランドパーパス」「その企業が行う意義」「ユーザーの興味関心」の3つが重なるところをコミュニティのコンセプトに定めることがポイントになると考えています。

潮流④ ついに”音声”元年が到来?

──ここまでの3つは2020年からの流れを汲んだものでしたが、最後のテーマである「音声」は新しいキーワードですね。

実は海外ではすでに音声市場は急成長を見せています。Amazonやニューヨーク・タイムズといった企業がポッドキャスト企業の買収に動いていますが、彼らが音声をビジネスチャンスとして捉えていることの表れでしょう。かたや中国では、音声サービスのインフルエンサーのような方で、年間5,000万円稼ぐナレーターも登場しています。

そして日本でもこの数年で、各種ポッドキャストや、Voicyやstand fm、himalayaといった音声配信サービスの存在感が高まってきました。

良質なパブリッシャーやクリエイターが音声市場に参入し、良質なコンテンツが数多く生まれたことでユーザーが集まり、マネタイズ手段が確立されパブリッシャーに収益が還元されるというエコシステムが成立しそうな予感がしており、いよいよ日本でも市場として本格的に立ち上がる”音声”元年になるのではないかと期待しています。

出典:Voicy

──コンテンツとしての音声の魅力、価値とはどのような点にあるのでしょうか?

音声コンテンツは、視覚や手が埋まっている状態でも、耳ひとつでコンテンツや情報を得られるという強みがあります。

SNSや動画など、人々の視覚的な可処分時間の奪い合いは激しくなる一方で、聴覚はまだ空きがあると言われます。radikoはコロナ禍で在宅勤務が増えたことでユーザーが増加したそうですが、そんな”耳”の隙間時間を有効活用したいと考えるユーザーは潜在的に多く存在すると考えられます。

また、音声だけで情報を届けるため、聞き手の想像力を掻き立てるという特性があります。声色ひとつでも様々な感情が伝わり、非常にエモーショナルなコンテンツ形態です。そんな”情緒メディア”である音声コンテンツは、熱量のあるファンとのつながりを深めたい場合などは特に相性の良いマーケティング施策になると思っています。

──マーケティングシーンでの具体的な音声活用について教えてください。

今の段階で企業が現実的に取り組みやすい施策としては、主に「自社チャンネルの保有」「チャンネルのスポンサー」「音声広告」の3つが挙げられます。

1. 音声プラットフォームでの自社チャンネルの保有
<主な事例>
マネックス証券(Voicy)
リクルート(Spotify)

2. 有力チャンネルや番組のスポンサー
<主な事例>
・「ワーママはるラジオ」Sponsored by すっぽん小町(Voicy)

3. 音声広告(オーディオアド)の出稿
<主な事例>
映画「Diner」のプロモーション(Spotify)

いよいよ市場が立ち上がるか、というタイミングなので、多くの企業が本格的にマーケティングに音声を取り入れるまではもう少し時間がかかるかもしれませんが、早い企業はすでに音声活用に取り組み始めていますので、まずは最新の事例や業界動向にアンテナを張っておくことをおすすめします。

早いうちから参入することによる先行優位性は確実にありますので、新しい施策を探している企業は、今年から音声活用にトライする価値はあると思いますね。

──私もこれから音声コンテンツに注目していきたいと思います。本日は貴重なお話をありがとうございました!

ファンに愛される存在になるために

「コンテンツを通して、企業やブランドを愛するファンをいかに創出できるか」

「そんなファンが求めるコンテンツや体験をいかに提供し、熱量の高いコミュニティ形成につなげることができるか」

2021年はこんなテーマに向き合う一年になりそうです。

またコンテンツマーケティングはその果実を得るまで相応のリソースや時間を要するという難しさがありますが、こういう時代だからこそ、新しいコンテンツにもチャレンジしながら腰を据えてじっくり取り組む価値があると改めて感じました。

今年はコンテンツマーケティングを強化したい、一歩進めたい、とお考えの企業様はぜひサムライトにご相談ください。

SOME MEDIAでもこれまで以上に、みなさまに価値ある情報をお届けできるように取り組んでいきたいと思います。2021年もよろしくお願いいたします!

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SOME MEDIA編集部

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