その広告、大丈夫ですか?ヘルスケアビジネスを取り巻く「薬機法(旧薬事法)」とは


「ヘルスケアビジネスに関するクリエイティブの制作は、薬機法に注意しなければならない」。このような話を聞いたことがある人は多いでしょう。しかし、具体的に何をどのように守るのかについては、ほとんどの人が知らないのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ヘルスケア商材のパッケージや広告、キャッチコピー、記事コンテンツの制作に関する注意点について、薬機法の観点から詳しく解説。主にサプリメントや健康食品などに携わるマーケターに向け、分かりやすく説明していきます。

効能・効果が謳えるのは、原則「薬事法4製品」のみ


日本の法律では、原則「薬事法4製品(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器)」のみが商品パッケージや広告などで”具体的な効能・効果”を謳うことができます(※現在は「再生医療等製品」も含む)。つまり、薬事4製品以外の商品は、原則効能・効果を標榜することができません

また、ここで言う効能・効果とは、『高血圧の改善』『生活習慣病の予防』『疲労が解消される』など、身体的な変化を表すフレーズ。具体的には、商品を摂取することによって特定の成分が身体に作用し、その結果現れる身体の変化を意味します。

さらに、効能・効果の標榜だけではなく、医薬品と誤認させるような表現方法についても、薬事法4製品以外の商品は行うことが許されません。

これらのルールは薬機法などによって裏付けられており、健康食品やサプリメントなどのクリエイティブを扱う担当者は十分な注意が必要になります。

「薬機法(旧:薬事法)」とは


薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称で、医薬品などの品質や有効性、安全性の確保に加え、その製造や表示、流通、販売、広告などについて細かく定めた法律です。

制定された当初の名前は薬事法でしたが、医薬品や医療機器を取り巻く環境の変化などに対応するため、法律の一部が改正。2014年11月に、薬機法への名称変更と共に改正法が施行されました。

薬機法では百近くの条文が定められており、「薬機法第二条」で医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器などを定義。第三条以下で、それぞれの規制を取り決めています。

しかしなぜ、広告文などについてここまで細かく定めているのでしょうか。答えは簡単です。いわゆる健康食品は医薬品と異なり、病気を治療したり予防したりするものではありません。また、医薬品は健康食品などに比べ、人体への作用が大きい傾向がみられます。つまり両者は、”消費者が明確に区別できる状態”でなければならないということ。従って、薬事法4製品以外による医薬品的な効能・効果の標榜が厳しく規制されているのです。

「医薬品」の定義(薬機法第二条より)
1. 日本薬局方に収められている物
2. 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、器具器械(歯科材料、医療用品及び衛生用品を含む。以下同じ。)でないもの(医薬部外品を除く。)
3. 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、器具器械でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)

医薬品と誤認させるような商品(薬事法4製品以外)を販売した場合、医薬品としての承認を受けていない「無承認無許可医薬品」を販売したとして、事業者は薬機法第二十四条違反(医薬品の販売業の許可)を問われる可能性があります。また、医薬品的な効能・効果の標榜についても同様に、薬機法第六十八条違反(承認前の医薬品等の広告の禁止)を指摘されるかもしれません。

具体的な効能・効果のNGフレーズは法律に記載されていない

薬事法4製品以外による医薬品的な効能・効果の標榜は、薬機法により厳しく規制されています。しかし、”医薬品的な効能・効果”と言っても、言葉である限り、その表現内容は千差万別。医薬品的な効能・効果に当たるか否かの見極めは非常に困難です。

また、薬機法の条文には、医薬品的な効能・効果に関する具体的なフレーズは記載されておりません。ではどうすれば、NGとなるフレーズを把握できるのでしょうか。

判断方法一つには、厚生省(現:厚生労働省) が1971年に発したガイドライン「46通知」が挙げられます(※正式名称は「無承認無許可医薬品の指導取締りについて」)。通知には謳い文句に関する具体的な基準などが記されており、この基準に照らし合わせて、適法であるか否かを判断することになります。また、薬機法に関する通知は厚労省から定期的に発令されており、日々アップデートされています。

さらに、薬機法違反となりうる具体的なフレーズや手法を知るに当たっては、株式会社じほうが発行している「医薬品の範囲基準ガイドブック」や、東京都が作成しているガイドラインなども参考になるでしょう。

薬機法違反のペナルティ(行政指導・刑事摘発)について

薬事法の違反に関するペナルティは主に二つ。一つは行政指導、そしてもう一つは刑事罰です。行政指導とは行政機関が行う是正措置のことで、違反した企業は違法状態の是正を命じられたり、報告書の提出を求められたりします。また、2018年の改正法では、課徴金の制度が加えられました。

悪質な違反については、関係者が逮捕され、刑事裁判に発展するケースも。薬事法違反事件の多くは略式手続(公判は開かず、即日書面審理で結論を出す)の形式が取られますが、被害額や悪質性の高さによっては正式に起訴され公判で結論が下されます。また、刑事手続に発展すると事情聴取や家宅捜索を受けることになるため、企業は大きなダメージを被るでしょう。

薬事法有識者会議によると、薬事法違反による行政指導の件数は、年間で約数十万件。刑事事件については、(推定)年間50件程度立件されているといいます。尚、行政指導の端緒は同業者による告発が多いそうで、何の前触れもなく指導が入るケースがあるとのこと。また刑事事件についても同様で、ある日突然警察がやって来ることも珍しくはないということです。

Web業界を震撼させた薬機法違反事件

薬機法違反により、これまでさまざまな企業が刑事摘発を受けてきました。その中でも、特に顕著な例が「ステラ漢方事件」です。

事件では、ステラ漢方(株)の社員に加え、ソウルドアウト(株)とその制作委託会社、また(株)KMウェブコンサルティングの従業員6人が薬機法違反容疑で逮捕。医薬品の承認を受けていないサプリメントについて、『肝臓疾患の予防に効果がある』などと広告に表示した疑いがもたれました。

つまり、この事件から言えることは、広告主だけでなく、その関係先についても罪が問われる可能性があるということ。広告代理店や制作会社の従業員らが同時に逮捕された過去にない事例で、Web業界に激震が走りました。

ヘルスケアビジネスを取り巻くさまざまな法律


ヘルスケアビジネスを規制する法律は薬機法だけではありません。「景品表示法」や「健康増進法」なども複雑に絡んでいます。これは、規制する内容の切り口が各法律によって異なるため。つまり、商品や広告に対してマーケターらは、薬機法のみではなく、さまざまな法律やガイドラインを考慮する必要があるのです。

各法律がチェックする主な観点
薬機法 医薬品的な効能・効果を標榜しているか否かなど。
景表法 広告文の内容が事実に基づいているか否かなど。
健増法 虚偽・誇大の有無など

景品表示法

景表法は「不当景品類及び不当表示防止法」の略称で、不当な表示(虚偽・誇大)による顧客の誘引行為などを規制するために制定された独占禁止法の特例法です。元々は公正取引委員会の管轄でしたが、2009年9月に所轄省庁が消費者庁に移転しました。

これまで景表法は、ヘルスケアビジネスと深く関わりがありませんでした。しかし2003年の改正により、不当表示とみられる広告などに関し「不実証広告規制」と呼ばれる新ルールが導入。行政が事業者に対し、”表示内容を裏付ける合理的な根拠”の提出を求めることができるようになりました(企業は15日以内に資料を提出)。結果、ヘルスケアビジネスの担当者は、薬機法だけでなく景表法についても目を配る必要性が出てきたのです。

その後も規制強化が行われ、2014年には自治体による「措置命令」の発令が可能に。また2016年には、措置命令に加え「課徴金(罰金)」を科すことができるようになりました。措置命令とは、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除や、再発防止策の実施など。課徴金は原則、”事業者が不当表示をした商品・サービスの売上額に3%を上乗せした金額”としています。

ヘルスケアビジネスの領域では、特にダイエット商材への取り締まりが近年急増。行政から合理的根拠の提出を求められる事例が増えているようで、措置命令が出されるケースは年間約50件にも上るとみられます。

健康増進法

健増法は国民の健康維持や現代病予防を目的として制定された法律で、2002年に公布。また翌年に改正され、サプリメントなどの食品を対象とするガイドラインが厚労省から発表されました。同法は国民の健康に関するさまざまな事柄を規定するものですが、特にヘルスケアビジネスにおいては、改正法の「虚偽・誇大広告の禁止規定」を順守する必要があります。

健康増進法(虚偽・誇大広告の禁止)
何人も、食品として販売に供する物に関して広告その他の表示をするときは、健康の保持増進の効果その他厚生労働省令で定める事項(以下「健康保持増進効果等」という)について、著しく事実に相違する表示をし、又は著しく人を誤認させるような表示をしてはならない。

また、改正健増法のガイドラインによると、「1.表現対象が健康保持増進効果である」「2.表現形態が広告とみなされる」「3. 表現内容が誤認を招く内容である」この3つの要件を満たすと健増法違反とみなされ、指導が入ることになります。さらにガイドラインには、「付近ルール」「斡旋ルール」「媒体責任」といった各種ルールが設けられ、現在ヘルスケアビジネスに大きな影響を与えています。

・付近ルール

ガイドラインで付近ルールは、「『書籍、冊子、ホームページに特定の食品又は成分に係る学術的解説を掲載する場合であっても、その解説の付近から特定食品の販売ページに容易にアクセスが可能である場合や、販売業者の連絡先が掲載されている等』の場合、健康増進法に該当する可能性がある」と記述されています。

・斡旋ルール

書籍やWebページにサプリメントなどの効能のみが記述され、その商品名やメーカー名などが記載されていない場合。当該ページに販売事業者の連絡先が掲載され、そこに連絡すると商品名やメーカー名を知らせてくれる仕組みが構築されていれば、同ルールが問題となります。

・媒体責任

違反となる虚偽・誇大広告を掲載した媒体(メディア)にも、その責任を課すというルール。但し、ガイドラインの解釈上、媒体責任が問われるのは違反の予見可能性があった場合のみとしています。つまり、広告主が虚偽の内容を含む資料を提出し、媒体がこれらを虚偽と知らない場合、掲載メディアは違反の責任を負いません。

効能・効果が標榜できる例外的な商品がある


冒頭で、効能・効果を標榜できる商品は、薬事法4製品(医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器)のみと説明しました。しかし現在、規制緩和により幾つかの商品カテゴリーについては、パッケージや広告などで効能・効果を謳うことができるようになっています。その代表例が「保健機能食品」と「明らか食品」です。では、それぞれ順番に解説していきましょう。

保険機能食品

保険機能食品とは、国が設定する安全性や有効性などについて、一定の基準を満たした食品のこと。健増法などによって定義されており、主に「特定保健用食品(トクホ)」「栄養機能食品」「機能性表示食品」の3つに分かれます。これらの食品は”定められた範囲内で効能・効果”を述べることが許されており、現在市場規模が急速に拡大しています。

保険機能食品の分類
特定保健用食品 栄養機能食品 機能性表示食品

対象

食品全般

ビタミン(12種)、ミネラル(5種)、いずれかの成分を含むもの

食品全般

表示例 『お腹の調子を整える』『歯の健康維持に役立つ』など 『カルシウムは、骨や歯の形成に必要な栄養素です』など 『内蔵脂肪を減らす』『目の疲労感の緩和』など

商品例

・特定保健用食品(特保)

特定保健用食品とは、身体の生理学的機能などに影響を与える保健効能成分を含み、その摂取により、特定の保健の目的が期待できる旨の表示(保健の用途の表示)をする食品を意味します(消費者庁より)。

特保を販売するには、有効性や安全性などに関する科学的根拠を明確にし、国の審査を受け、消費者庁長官の許可を受けることが必要です。

特保の領域では、医薬品の有効成分にたる部分を「関与成分」、医薬品の効能に当たる部分を「許可表現」と呼びます。但し、許可表現については、おおむね10数種類程度しか認められておりません(下図参考)。

制度が始まった当初は画期的な制度と認知されていた特保ですが、審査基準が高く、また謳える効能(許可表現)が少ないため、あまり普及しませんでした。そこで、2005年に法律が改正され、一部の特保について規制が緩和。「条件付特保」と「規格基準型特保」が新たに加えられました。

特保で認められている「効能(許可表現)」の主なカテゴリー
1. お腹の調子を整える
2. コレステロールが高めの方に適する
3. ミネラルの吸収を助ける
4. 虫歯の原因になりにくい
5. 体脂肪がつきにくい食品
6. 血圧が高めの方に適する
7. 血糖値が気になる方に
8. 食後の血中の中性脂肪を抑える
9. 歯の健康維持に役立つ
10. 骨の健康が気になる方に適する

・栄養機能食品

栄養機能食品とは、特定の栄養成分の補給のために利用される食品で、”栄養成分の機能を表示する食品”のことです。栄養機能食品として販売するには、一日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、定められた基準値の上・下限値の範囲内にある必要があります。また、基準で定められた当該栄養成分の機能だけでなく、注意喚起表示なども表示する必要があります(消費者庁より)。

栄養機能食品は特保とは異なり、個別の許可・申請が不要な「自己認証制度」が設けられています。このため、国が栄養機能食品として認めている栄養素の基準や表現などを守れば、企業は自由に販売することが可能です。

但し、栄養機能食品には、「栄養成分名の表示」と「バランスの取れた食生活に関する表示」、この2点の表示義務を守らなければなりません(※通知「保健機能食品制度の見直しに伴う栄養機能食品の取扱いの改正について」より)。尚、バランスの取れた食生活に関する表示の例としては、『食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを』など、健全な食生活に関する啓発文言が挙げられます。

また、栄養成分に関する強調的な表示内容(「△△豊富」「低○○」など)については、「食品表示法」により表示できる基準が設けられており、企業はこれらを順守する必要があります。

・機能性表示食品

機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づいて、食品の安全性や機能性の科学的根拠などに関する資料を消費者庁に届け出れば、特定の機能性を表示することができる制度です。また、同制度に基づいて販売される食品を、機能性表示食品と呼びます(消費者庁より)。

機能性表示食品は、特保とは異なり国が審査を行いません(届出制)。従って事業者は、自らの責任で科学的根拠を基にして、効能・効果に関する適正な表示を行う必要があります。

もちろん、表示できる機能性の表現については幾つか「禁止事項」が存在します。その一つが、「病気の予防や診断、治療的な表現」。その食品により、”病気の予防などが行えるイメージを彷彿とさせる表現”が禁止されています。これに従えば、『花粉症が治ります』といった表現はNGですが、『目や鼻が気にならなくなる』はOK。また、『糖尿病の疑いがある人へ』はNGで、『血糖値が気になる人へ』はOKとなります。

二つ目の禁止フレーズは、「改造的表現」です。改造的表現とは、”健康維持の枠を超えた意図的な健康の増強を標榜するような表現”のこと。具体的には、『肉体改造』や『AカップがCカップに』といった表現が改造的表現に当たります。

特保や栄養機能食品と比べると、機能性表示食品はその市場が急速に拡大しています。そもそも健食が効能・効果を謳うことは、これまで特保や栄養機能食品にのみ認められていました。しかし、特保は許可・申請の手続きに膨大な時間や金銭的コストが掛かる上、表示できる表現はごく僅か。また、栄養機能食品に至っては、機能性が謳える対象成分が一部に限定されています。

そして、そこにメスを入れたのが第二次安倍政権。アベノミクス第三の矢「規制緩和等による成長戦略」として、(当時の)安倍首相が、”健康食品の機能性表示の解禁”に踏み切ったのです。届出制である機能性表示食品制度は、企業がビジネスに参入しやすく、また特保や栄養機能食品に比べ、謳える効能・効果の範囲が広いことも特徴です。さらに健食ブームも相まって、新規参入する企業が増えているのです。

明らか食品

明らか食品とは、その名の通り、誰がどう見ても”明らかに食品と捉えることができる食品”を意味します。明らか食品は保健機能食品と同様、一定の範囲内で効能を標榜することが可能です。

厚労省通知による「明らか食品」の規定
ただし、次の物は判定方法による判定によることなく、当然に、医薬品に該当しない。
(1)野菜、果物、菓子、調理品等その外観、形状等から明らかに食品と認識される物
(2)栄養改善法(昭和27年法律第248号)第12条の規定に基づき許可を受けた表示内容を表示する特別用途食品」

(※菓子は2007年4月の通知により明らか食品から除外)

但し、「有効成分が添加されているもの」「主目的が食でないもの」「一般性がないもの」この3点に至っては、明らか食品と認められません。また、医薬品などと誤認される可能性が高い”タブレット形状”の食品なども、明らか食品から除外されています。

「明らか食品」と間違いやすい例
有効成分が添加されているもの 花粉症のど飴、消臭ラムネ菓子など
主目的が食でないもの サプリメント類
一般性がないもの マヌカハニー、ルイボスティーなど

明らか食品といっても、何でもかんでも効能を標榜することはできません。例えば、健増法には、乳幼児らが摂取する「特別用途食品」に関する法規があり、「販売に供する食品につき、乳児用、幼児用、妊産婦用、病者用等の特別の用途に適する旨の表示(以下『特別用途表示』という。)をしようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。」と規定されています。

特別用途表示の例として、『高血圧に適する○○』や『塩分を制限している人に』といったさまざまなフレーズがあり、明らか食品が無許可でこれらの効能を謳うと、健増法第三十七条違反となります(50万円以下の罰金)。

ヘルスケアビジネスのクリエイティブ制作で注意したい表現

健康食品の広告やキャッチコピー制作は薬機法に注意しなければなりません(※「薬事4製品」や「保健機能食品」、「明らか食品」を除く)。しかし、具体的にどのような表現やフレーズが違反になるのか分からない人は多いでしょう。そこでここからは、薬機法違反の主な判断基準についてそれぞれ説明していきます。

医薬品と誤認させるような表現・フレーズはNG

薬事4製品以外では、医薬品と誤認させるような表現・フレーズを使うことができません。例えばサプリメントに至っては、主に「成分」「剤形」「用法容量」「効能効果」この4つの観点から、薬機法違反に当たるのか否かを判断します。特に、用法容量と効能効果の表現・フレーズは、マーケター必須のチェック項目。

サプリメントに関する「薬機法違反」の主な判断基準
成分 医薬品として使用される成分を含んでいる。
剤形 医薬品的な剤形をしている。アンプルや舌下錠など
用法容量 医薬品的な用法容量の表現を含んでいる。『1日2錠』『食後に』など
効能効果 身体的な変化を表すフレーズや、具体的疾病名などを含んでいる。

ヘルスビジネスにおいて、「効能効果に関する表現を曖昧にする方法」や、「商品と効能の話を切り分けて表現する方法」は、マーケターやクリエイターらに求められる重要なテクニックです。

健康食品を訴求するには、その商品がどのような効果をもたらすのか、パッケージや広告などで明確に伝えなければなりません。同時に、その商品がどのような効果をもたらしてくれるのか分からなければ、消費者は手に取らないでしょう。従って、医薬品的な効能・効果に当たらないギリギリの範囲で、商品をPRする試行錯誤が求められるのです。

NG表現の例 OK表現の例
血糖が気になる方へ 糖を気にしている方へ
疲労回復 元気が出る
治癒力を高める パワーを高める
有効成分 有効成分
貧血気味の方に ふらつきやすい方に
生活習慣病の改善へ 生活習慣の改善へ
1日1錠 1日1錠を目安にお飲み下さい
美白 表情が明るくなる
免疫力 活性力
服用する 摂取する。飲む。

イラストによる効能・効果の標榜もNG

薬機法のガイドラインなどでは、イラストによる医薬品的な効能・効果の標榜も基本的に許されません。医薬品的な効能・効果に関するフレーズが商品パッケージや広告に記載されていなくとも、それらを暗示させるイラストがあれば、薬機法に抵触することになります。

例えば(図1)の場合。ビフォー・アフターのイラストによって身体的な変化を暗示しているため、薬機法違反とみなされる可能性があります。また、(図2)に至っては、医師が摂取を推奨しているようなイメージを消費者に与えるため、消費者は医薬品と誤認するかもしれません。従って、このイラストについても薬機法的にはNG表現とみなされるでしょう。

(図1)ビフォー・アフターで身体の変化を表すイラスト表現

(図2)医師が推薦しているようなイラスト表現

サムライトの「薬事法管理者」がヘルスケアビジネスをサポート


薬機法に関する理解は深まりましたでしょうか。今回解説した内容は、ヘルスケアビジネスを取り巻く薬機法の法規のごく一部。これ以外にも、マーケターやクリエイターらが知っておくべき内容が膨大に存在します。

また昨今、デジタル広告やWebコンテンツなどによるヘルスケアビジネスの商品訴求が増えるに伴い、これらを取り巻く規制は強化されつつあります。もちろん、『知らなかった』では済まされず、一旦指導や摘発を受ければ、最悪の場合事業の停止に追い込まれるかもしれません。

そこで登場するのが、「薬事法管理者(『薬事法有識者会議』が主催する薬事法管理者資格認定試験の合格者)」です。薬事法管理者とは、ヘルスケアビジネスにおいて欠かせない薬機法などに関する専門知識を学んだエキスパート。商品パッケージや広告、コンテンツの表現が法令上適切であるかどうかなどを判断するノウハウを兼ね備えています。

サムライト株式会社では、弊社在籍の薬事法管理者がヘルスケアに関するビジネスをサポート。薬機法などに関するさまざまな顧客の疑問を解決しています。