<動画活用入門②>実写&アニメーションの特徴と制作のポイントを理解して適切に使い分けよう


こんにちは!サムライトの動画担当、菅野(かんの)です。

コンテンツマーケティングで動画を活用するには、マーケティング目的を達成するためのコンテンツを企画・制作することが求められます。加えて、動画の制作にはテキストや画像よりも多くの手間とコストを要します。

そのため、動画制作では事前のプランニングが非常に重要であり、コンテンツの目的や用途はもちろんのこと、予算やスケジュールといった諸条件も踏まえて、どのようなコンテンツを制作するかを判断する必要があります。

そこで今回は、映像表現手法という観点から、より適切な動画コンテンツを見極めるための知識として、各種映像表現の強みや制作プロセスの違いなどをご紹介していきます。

2つの映像表現手法

映像の表現手法は「実写」と「アニメーション」の2つに大別されます。それぞれの特徴や強み、コンテンツ例をまとめたものが下の表です。ひとつずつ詳しく説明していきます。

実写の特徴

実写映像は私たちの現実世界に存在するものを映し出す手法ですので、視聴者が共感しやすく、自分ゴト化しやすいという特徴があります。

実写映像は、ドラマ仕立てのフィクションと、リアルな世界を映し出すドキュメンタリーに大別することができます。フィクションでは、ストーリーを自由に組み立てられるため、”そうでありたい理想の世界”を描くのに適しているのに対し、ドキュメンタリーは良い面も悪い面もリアルに映し出され、演技ではない”本物”感が何よりの強みです。

それでは実写動画のうち、コンテンツマーケティングにおいて相性の良いコンテンツをいくつかご紹介します。

・インタビュー動画

その領域の専門家や著名人、あるいは商品ユーザー等に語ってもらうという王道コンテンツです。インタビュアーも出演して対話形式で進行する対談スタイルもあります。インタビュー記事の冒頭やSNS等に、そのダイジェストやイントロダクションとして短いインタビュー動画を掲載して記事コンテンツへの興味を引くという活用も有効でしょう。

その人自身の言葉で語ってもらうというリアルさや熱量が強みとなるため、どのような人をキャスティングするかが大きなポイントです。多くのファンを抱える著名人であれば再生回数も大きく伸びる可能性があります。一方、どんなに有名な人でもカメラ前で話すのが苦手というケースもあり、その場合はインタビュアーの力量や質問内容等でカバーする必要があります。

▽ YouTube内に数分のダイジェスト動画を掲載し、メディア内の対談記事へと誘導

▽ 雑誌内の企画と連動した編集長の対談動画。Zoomだけでもコンテンツとして成立

 

・ハウツー(HowTo)動画

何かをする方法を説明するハウツー動画はYouTubeでも人気のコンテンツです。従来から人気のレシピ動画やメイク動画などに加え、エクササイズ動画やDIY動画などもコロナ禍をきっかけに大きく伸びています。少々変化形ですが、黒板などを使って講義形式で何かを解説する学習系動画も多く見られるようになってきています。

文字や写真だけでは伝わりにくい操作方法や体の動かし方なども、わかりやすく伝えられる点がハウツー動画のメリットで、様々な内容に展開しやすいフォーマットです。人が出演してハウツーを解説する場合は、インタビュー動画と同様、話がある程度上手な人が必要です。例えば人気書籍の著者でも、打診する前に話のスキルを事前に確認しておくのがポイントです。

▽ 動き方を伝えられるので視聴者もイメージしやすい

▽ 有料の学習コンテンツの一部を無料公開して興味を喚起

 

・UGC動画

今は一般の人たちも様々な動画をSNSやYouTubeに投稿しています。そこで、自社商品を使ってくれている様子をおさめた動画などをつなげて一つの動画コンテンツにすることもできます(もちろん投稿者の許可をとる必要があります)。

自分の動画が企業の動画コンテンツに採用されたということでエンゲージメントが高まるだけでなく、そのユーザーからの発信でまた新しいユーザーへとリーチできる可能性もあります。

▽ UGCを活用したブランディング動画。広告としても配信

 

アニメーションの特徴

アニメーションの強みは何と言っても、表現できる世界観が無限にあるという点です。イラストのタッチや動き、アングル、音、画面構成なども自由に組み合わせることができ、現実世界ではありえないモノや現象さえも実現できてしまいます。そのため無形商材の概念や価値を説明したい場合などでよくアニメーションが用いられます。

こちらの動画のように、実写が一般的なハウツー動画を敢えてアニメーションにするケースも見られます。

なお、本記事では「アニメーション」と表現で統一してしていますが、「アニメ」「イラストアニメーション」「フラットアニメーション」「モーショングラフィック」など企業やクリエイターによって呼び方が異なることがあります。概ね同じものを指していると考えていただいて問題ありません。

それでは、アニメーションを使った動画コンテンツのアイデアを2つご紹介しましょう。

・インフォグラフィック動画

データや情報を視覚的に伝えるインフォグラフィックは、動画コンテンツとしても多く取り入れられています。もともと直感的なわかりやすさが特徴のインフォグラフィックに動きが加わることでより目を引き、情報伝達力も高まるため、お役立ちコンテンツや教養コンテンツとして力を発揮します。

▽ スポンサー企業として五輪に関する数字をインフォグラフィックで紹介

 

・マンガ動画

最近よく見られるようになったのが、マンガスタイルの動画です。マンガに動きを加えたような動画で、通常のアニメーション動画とは異なる作風となるため、差別化を図りたいときや、ターゲット層がマンガと親和性が高い場合は有効なコンテンツと言えるでしょう。最近はTwitterなどで自作のマンガやキャラクターを公開するアカウントも増えているため、そのようなインフルエンサーとのコラボ企画も今後有効かもしれません。

▽ 育児ストーリーのマンガを動画化。チャンネル内では様々な作者を起用している

▽ 既存の漫画本を動画化したコンテンツで社史を紹介

 

動画制作の流れとポイント

それでは続いて、実写・アニメーションそれぞれの制作工程を見ていきます。

動画制作の基本的な流れは「企画」→「撮影・制作」→「編集」となりますが、実写とアニメーションでは異なる点がありますので、それぞれのポイントや注意点を理解しておきましょう。

実写映像の制作プロセスと注意点

UGC動画を除き、実写には「撮影」というプロセスが入りますが、スケジュール的にもコスト的にも撮影を後日やり直すことが難しいため、撮影前に行う企画構成や各種準備が非常に重要です。内容に関して不明点や不安がある場合は、必ず撮影前にクリアにしておきましょう。

その他に覚えておきたいポイントを3つご紹介します。

・写真素材/映像素材を活用

UGC動画の他に、撮影せずに実写動画を制作する方法として「素材の活用」があります。映像素材もストックフォトと同じように購入することができます。

例えば多くのイメージカットで構成する動画において、そのすべてを実際に撮影すると大変な手間とコストが生じますが、素材購入という形なら手軽に制作できます。また、街の様子を上空から捉えた空撮カットなども簡単に動画に加えることができます。

実写のリアル感を維持しつつ、より自由なストーリーでダイナミックな動画に仕上がるのでおすすめです。

▽ 動画の内容に合わせて様々なイメージ写真を活用

 

・台本の用意

ハウツー動画の場合は事前に絵コンテとともにセリフやナレーションを固めてから撮影に臨み、計画通りに撮影していくのが基本です(もちろん現場で様々な変更が発生することはあります)。

一方、インタビュー動画の場合、”リアルさ”が価値でもあるため、セリフを事前に用意することはおすすめしません。企画上、含めるべきキーワード程度はすり合わせしておき、あとはインタビュイーに自由に話してもらう方が良いでしょう。

 

・キャストや素材の契約条件

コンテンツマーケティングでは、制作したコンテンツを資産として長期的に活用していくという考えが基本です。そこで気をつけたいのが、キャストや各種素材の使用期限に関する契約条件です。

特にタレントやモデル、あるいはプロのナレーターを起用する場合、多くのケースで数ヶ月から1年程度の使用期限を提示されます。使用料を支払うことで期限を延長できる場合もありますが、当人のブランディングやギャランティーに対する考えにより、延長NGとなることも十分に考えられます(インタビュー企画はこの限りではありません)。

有名タレントを起用すると注目度が上がり、再生回数が伸びることも期待されるので、一時的なブースト施策等では有効ですが、蓄積を目的とした動画コンテンツでのタレント起用はあまりおすすめしていません。

アニメーション映像の制作プロセスと注意点

アニメーション映像は、映像構成とイラストデザインをまず固めてから、コンテやナレーションに合わせて1カットずつ制作していきます。制作段階に進んでからデザインを変更することは難しいため、企画段階で社内各所ともコンセンサスをとっておきましょう。

・本数分の制作時間とコストが発生

コンテンツマーケティングでは複数本のシリーズ動画を企画することもあります。実写の場合、1日の撮影で全本数分の素材を効率的に撮影できれば、スタジオや撮影スタッフなどは1日拘束分のコストで抑えることができ、あとは本数分の編集コストが加わる形になります。

しかしアニメーション動画の場合、シリーズ共通のカットを除き、動画全本において1秒、1カットずつ「0→1」で作り上げていくことになります。そのため、シリーズものであっても本数に比例して制作費も増えていくことになります。

 

制作段階までを見据えて最適な選択を

以上で、実写とアニメーションそれぞれの特徴、そして制作面の違いをご理解いただけたでしょうか?

他社の動画事例を見て、似たような動画を制作したいと思ったことがある方もいるかと思います。しかしそれがどんなに良いコンテンツで反響が高かったとしても、自社の動画コンテンツとして適切か、実現できるかは別の話で、目的や諸条件と照らし合わせて、最適な手法を選択していくことが、費用対効果や継続性の高いコンテンツマーケティングを実現するために不可欠です。

どのような動画にすべきか迷ったらお気軽にサムライトにご相談ください。目的やご予算に応じて最適な表現手法や企画をご提案させていただきます!

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ABOUTこの記事をかいた人

菅野 審也

前職では動画マーケティング企業のプロデューサーとして400件以上の動画制作に携わる。旅行で訪れて以来、奄美大島の美しい海とおいしい食べ物に惚れ込み、念願叶って2020年7月に奄美大島に移住。現在はサムライト奄美大島支社で動画コンテンツのディレクションや商品開発を担当。