動画のマーケティング活用のための基礎知識【後編】IGTVの活用


最近リリースされたばかりのIGTV。風の噂でさまざまな情報を得ているかもしれませんが、どう活用すればいいのでしょうか?

前編では、動画のマーケティング活用の歴史をさかのぼって解説しました。

動画のマーケティング活用のための基礎知識【前編】動画プラットフォームとSNS

後編では最新プラットフォームのIGTVをご紹介します。プラットフォームの基礎をはじめ、実際の活用法を分析してみます。

IGTVとは?

IGTVはInstagramが開発して運営している動画を共有するサービスです。Instagramでの動画投稿は60秒までしかアップロードできませんが、IGTVでは、10分の尺の動画でも可能です。一部の企業は60分の動画をアップロードできるようです。

IGTVに関して、インスタグラムの共同創業者兼最高経営責任者のケビン・シストロム氏はこうコメントしました。

「Instagramはこれまでも、人との繋がりからインスピレーションを受けたり、新しいことを知ったり、楽しみを発見したりする場であり続けてきました。IGTVが新しい章の始まりとなり、コミュニティの皆さまの力で、Instagramにおける動画の可能性がさらに広がることを楽しみにしています。IGTVを通して、大切な人や大好きなことと、皆さまの距離がいっそう近づけば幸いです」

シストロム氏の発言から見ると、あくまでIGTVはInstagramの一部のサービスであるため、独立したプラットフォームではないようです。

IGTVの特徴

IGTVでは、縦型動画が中心のコンテンツです。そのため、過去に横型で制作したコンテンツを活用するよりも、ゼロから動画を作るほうがプラットフォームに合わせやすいといえます。

IGTVのひとつの強みは、Instagramのアカウントを持っていれば、生活者はIGTVを使用できることです。

また、IGTVはInstagram Storyと同様に、通常のタイムラインと異なるフィードに表示されます。そのため、企業が投稿する動画は普段の投稿とまじらず、生活者との出会いの場が増えます。

IGTVとInstagram Storyや通常投稿の違い、作成するポイント

IGTVと通常のInstagramの違いは大きくふたつあります。

ひとつは、投稿の長さです。Storyの動画は15秒という短尺ですが、IGTVに1分〜10分の動画をアップロードできます。最長60分の動画も可能ですが、現在のところ一部の企業にしか解禁されていないフォーマットのようです。

もうひとつの違いは、アスペクト比のことです。IGTVはスマートフォンで視聴する想定で構成されているため、当社がオススメしているIGTV用の動画のアスペクト比は9:16です。テロップがある動画の場合、デバイスによって切ってしまうことを考えられるためです。

IGTVの事例

海外ではIGTVの使い方を試している企業が出始めています。各社のIGTVの使い方は下記の通りです。

1. Spotify社

音楽をストリーミングするサービスのSpotify。Spotify社のIGTVを活用する方法は、サービスに音楽を提供している歌手に取材することです。また、同社はIGTVの縦型動画を使っているため、プロが作った感を出さないようにしています。

2. Vistaprint社

Vistaprintとは、小企業および個人消費者向けに印刷製品やプロモーション製品を提供するオンラインサプライヤーです。同社は、Vistaprintから注文している中小企業にインタビューすることにより、通常のInstagramの投稿枠より長く動画を使うことができ、ブランドイメージも上がります。

3. Airbnb社

Airbnbとは宿泊施設・民宿を貸し出す人向けのウェブサービスです。Airbnbは、動画でサービスに掲載されている場所の良さを伝えるように、IGTVを活用しています。

今後に期待したいIGTV。現状は?

IGTVは2018年6月にリリースされたばかりのプラットフォームであるため、数ヶ月しか経っていない現時点では、改善が必要な部分が多く見受けられます。

マーケティング担当者にとって困難なのは、詳しく動画を解析できないこと。現在、Instagram社が提供しているIGTVの指標は少ないため、効果の測定が代理店にとってもクライアントにとっても課題となります。

また、広告枠が解禁されていないこともあり、動画をブーストさせることができません。アカウントを検索しなければいけませんので、事前に企業やブランドを知っている必要があります。よって、偶然の出会いがありません。

さらに、アメリカにおけるアプリのダウンロード数は、サービスがリリースされてから2週間の間に10位から858位まで下がりました。したがって、現状では、普及率を判断しづらい状況です。

IGTVで期待できる数字

lutemediaより引用  ©lutemedia

lute株式会社が作成したIGTV独占配信のドラマ『デートまで』。通常のInstagram動画よりも予算が高いのにも関わらず、本記事を執筆する時点(2018年8月中旬)で、再生回数は以下のとおりとなっています。

【1話】3,007件
【2話】2,104件
【3話】1,465件
【4話】1,210件
【5話】2,012件
【6話】2,714件

この結果は、コンテンツの質などが要因となっているわけではなく、IGTVが普及途上の新規プラットフォームであることに起因していると考えられます。

現時点のIGTVの活用法

YouTubeを活用する場合のように、10万や100万ほどの再生回数を目指せば、結果は大きく下回ることでしょう。また、動画の収益化が困難であること、生活者の利用率が不明であることなどを考慮すると、マーケティングにおいてどれほどの成果を獲得できるのかは、現状では予想が難しいといえます。

しかし、IGTVの成功パターンをつかむのは、早い者勝ちです。動画を収益化できるようになったとき、また大きく世の中に普及したときに、すでにヒットするパターンを理解している企業は非常に有利な立場になります。そのため、IGTVを否定するよりも、テスト感覚で割り切って動画を作成するほうがメリットがあるかもしれません。

IGTVはまだ未成熟なプラットフォームであるといえ、現状すぐにマーケティングにおいて役立つかは分かりません。しかし、すでに多くのユーザーを獲得しているInstagramとの関係性などを考えると、今後大きく成長する可能性もあるプラットフォームともいえます。今後どのように成長していくのかを注視しつつ、テスト運用などにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。


ABOUTこの記事をかいた人

金澤 ジョーダン

広告代理店出身の社会人5年目。アプリ領域の強い代理店から外資系コンサルティング企業に転籍し、オンライン教育事業部の0→1を経験。また、海外メディア企業の日本オペレーションの最高責任者も含めて、フリーランスを応援するWeb媒体のライターとして活動。現在、ビジネスデベロップメントに加え、商品開発や海外リサーチなど、数多くのことを実施中。