話題の『Instagram Story』とは? 前編:事例から見るベンチマークと活用法


SNSに頼っている現代は私たちマーケッターにとっては大チャンスです。

しかし、LINEを除き、各SNSは海外で開発されているため、それらに関する情報は英語で発信されていて、日本語だとキャッチアップが遅くなります。

一方、弊社では、役員会議中の海外動向についてのプレゼンは日常のことになりつつあり、社員も日々トレンドを熱心に勉強中です。

今回、海外で話題になっているInstagram Storyも含め、各業界のStory機能のベンチマークや効率的な使い方などを前後編にわけてご紹介します。

申し遅れました。私はジョーダン・コルストンです。海外生まれ育ちのマーケッターで、今年4月にサムライトに入社しました。よろしくお願いします。

●執筆者プロフィール
ジョーダン・コルストン
広告代理店出身の社会人4年目。アプリ領域の強い代理店から外資系コンサルティング企業に転籍し、オンライン教育事業部の0→1を経験。また、海外メディア企業の日本オペレーションの最高責任者も含めて、フリーランスを応援するWeb媒体のライターとして活動。現在、SEOコンサルティングに加え、商品開発や海外リサーチなど、数多くのことを実施中。

Instagram Storyとは?

Instagram Storyは、写真や動画をスライドショー形式でInstagramにアップロードし、24時間後に削除されるコンテンツの一種のこと。

もともと、この機能は、海外の人気度が高いSNSであるSnapchat(スナップチャット)の主な特長だったので、Instagramに導入される前から、海外の人にとっては馴染んでいるUXでした。

2016年8月にInstagramのStory機能がデビュー。そこで、かなり話題になり、2018年6月時点では、8億人超のユーザーのうち4億人がStory機能を使ったことがあります。また、個人だけではなく、InstagramのStory機能による更新の約3割が企業のものです。

各業界におけるInstagram Storyのベンチマーク

業界によって、プラットフォームや機能などへの相性が異なります。ファッション、ビューティー、飲食、パブリックビューイング、ライフスタイルの業界5つから見るInstagram Storyへの相性を探ります。

Instagram Storyは新機能であり、Story機能のみの指標もあるため、各カテゴリーの数字の質を判断しづらいです。しかし、Facebookの場合、平均のCTRが0.90%です。

また、2018年のアルゴリズムが変更することにより、企業のオーガニック流入も下がっている傾向にあります。そのため、Instagram Storyの指標を判断するのはもう少し時間が必要だとしても、Facebookのエンゲージメントよりも改善方向に進んでいるように見えます。

ベンチマークその1〜企業が出す平均Storyのサイクル数

この指標は全投稿の中で、最後まで視聴されたStoryの平均値です。

【ファッション業界】13.39
【ビューティー業界】13.18
【飲食業界】12
【パブリックビューイング業界】21.08
【ライフスタイル業界】13.55

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ベンチマークその2〜企業が出す平均Storyの投稿回数

この指標は、Instagram Storyにアップロードされた全投稿の平均値です。

【ファッション業界】97.39
【ビューティー業界】83.55
【飲食業界】67.6
【パブリックビューイング業界】207.85
【ライフスタイル業界】94.27

mediumの記事を元に翻訳して引用

ベンチマークその3〜Storyにおける平均の各投稿の数

この指標は、完結されたStoryにおける、平均の投稿数です。

【ファッション業界】7.18
【ビューティー業界】6.25
【飲食業界】5.88
【パブリックビューイング業界】9.00
【ライフスタイル業界】6.61

mediumの記事を元に翻訳して引用

ベンチマークその4〜Storyにおける投稿ごとの離脱率

この指標は、完結されたStoryにおける、投稿ごとの離脱率です。

【ファッション業界】5.15%
【ビューティー業界】4.48%
【飲食業界】5.50%
【パブリックビューイング業界】3.78%
【ライフスタイル業界】4.72%

mediumの記事を元に翻訳して引用

ベンチマークその5〜各Storyのリーチ率

この指標は、完結されたStoryのリーチ率です。

【ファッション業界】5.43%
【ビューティー業界】3.89%
【飲食業界】3.73%
【パブリックビューイング業界】2.66%
【ライフスタイル業界】4.71%

mediumの記事を元に翻訳して引用

ベンチマークその6〜Storyにおける投稿ごとのリーチ率

この指標は、Storyにおける、投稿ごとのリーチ率のこと。

【ファッション業界】5.08%
【ビューティー業界】3.69%
【飲食業界】3.41%
【パブリックビューイング業界】2.48%
【ライフスタイル業界】4.50%

mediumの記事を元に翻訳して引用

ベンチマークその7〜Storyの平均インプレッション率

この指標は、完結されたStoryのインプレッション率です。

【ファッション業界】6.15%
【ビューティー業界】4.27%
【飲食業界】3.99%
【パブリックビューイング業界】2.95%
【ライフスタイル業界】5.17%

mediumの記事を元に翻訳して引用

ベンチマークその8〜Storyにおける投稿ごとの平均インプレッション率

この指標は、完結されたStoryにおける、投稿ごとのインプレッション率のことです。

【ファッション業界】5.63%
【ビューティー業界】4.02%
【飲食業界】3.61%
【パブリックビューイング業界】2.75%
【ライフスタイル業界】4.93%

mediumの記事を元に翻訳して引用

Instagram Storyにおける指標

Instagram Storyにおける指標を理解しないと、効果が測りづらくなります。

Instagram Storyの指標の用語

Instagram Storyの専門用語、ピンと来ない単語が多いかもしれません。Instagramに特化している指標が多く、どう解説すればいいのかを混乱しないように、下記の見解が必見です。

リーチとインプレッションの違い

リーチとは、アカウントひとつ辺りのStoryごとのスライドの訪問回数です。一方、インプレッションは、Instagram Storyの合計表示回数です。そのため、常にインプレッション数はリーチ数より高いわけです。

Back(バック)とForward(フォワード)の違い

Backは、ユーザーが画面の左側を押して、前のStoryに戻そうとした回数です。あらためてコンテンツを見たい証拠のひとつであり、ポジティブな指標です。

Forwardとは、ユーザーが画面の右側を押して、次のStoryに飛ばそうとする回数のこと。

即タップして次のStoryに行こうとするのはよくみられる行動なので、必ずしもネガティブな指標ではありません。

Storyの質を判断するには、いくつかのコンテンツのForward率を比較してみるといいかもしれません。

Next Story(ネクストストーリー)とExited(エックジテッド)の違い

Next Storyは次のアカウントに飛ばしたユーザーの回数です。一方では、Exitedとは、ユーザーがInstagram Storyから離脱した人数のこと。

指標の共通点がありますが、Exitedの場合、自社アカウントと関係ない事情によって離脱する可能性はあります。

しかし、Next Storyに関しては、生活者がStoryに飽きて次のアカウントに行く可能性があります。

Next Storyのデータを使うと、自社アカウントの登録者にとってふさわしいStoryの長さを推測できます。

Swipe-Ups(スワイプアップス)

Swipe-Upsは、Instagram Storyに紐付いているリンクに飛ばせた指標です。各StoryのSwipe-Upsを比較し、獲得につながるコンテンツを判断できます。

Swipe-Upの獲得率が低い場合、コンテンツにメッセージを追加すると、獲得率が上がる傾向にあります。

Replies(リプライス)

Repliesとは、Storyの一部に対する返信をもらった回数のこと。こういう返信は、投稿のコメントと異なり、投稿先のインボックスに届きます。生活者からフィードバックをもらうための不可欠な機会です。

Sticker Taps(スティッカタップス)

Sticker Tapsは、Storyに入っているハッシュタグなどをクリックした数です。

Instagram Storyの効率的な使用法5つ

Instagram Storyをうまく活用できる業界や注目すべき指標が理解できたと思いますが、どんな目標をもとにプラットフォームを使えばいいのでしょうか?下記に使用法を5つご紹介します。

1. ブランドの裏側を見せて、透明性をつくる

Stacklaという広告業界の報告書によると、生活者の86%にとって、ブランドへのエンゲージメントの決め手は企業の透明性のようです。ブランドへの抵抗感がないと、その会社の商品を買ったり、ほかの面でサポートしてもらえることが増えるでしょう。企業の採用活動まで影響を与えます。

たとえば、NASA社(アメリカ航空宇宙局)の事例があります。新卒の女性研究者を雇いたかったですが、宇宙産業は男性が多いというイメージが定着しています。

この先入観をなくすために、NASA社はInstagram Storyに、NASA社で働いている女性の日常をアップロードしました。もっとNASA社のことを理解してもらい、女性の活動場所もあることを伝えました。

また、Beyond Yoga社(ビヨンド・ヨガ)ではInstagram Storyのライブ動画配信を活用し、ボクシングクラスの様子を発信してきました。

それによって、ユーザーがBeyond Yogaに入会すると、どんな楽しみがあるのかを伝えることができました。

2. Instagram Storyの投稿機能を使いこなし、ブランドへの相性を高める

Instagram Storyに含まれている投稿機能が多く、相性を高めることができ、生活者のフィードバックももらえます。

Instagram Storyのハッシュタグ機能を使ったファッション企業のNordstrom社(ノードストロム)が、ブランドのビジョンにピッタリな発言を投稿に入れ、発言者をタグ付けしました。

発言者のことを検索する人が、このStoryに触れることができ、Nordstorm社への相性も高まると考えられます。

Sephora社(セフォラ)というビューティーブランドの場合、Instagram Storyの投票機能を使い、商品に対する期待を測っていました。「どちらの商品が欲しい?」「どちらの商品を先にリリースしてほしい?」などの質問をして、もっとも適切な方針を選びました。

Laterより翻訳して引用

Sprout Social(スプラウト・ソーシャル)という広告代理店が位置情報をハッシュタグにした結果、ローカルの広告主がハッシュタグで同社を検索できました。

3. 商品を宣伝する

企業様にとって、商品やサービスを使ってもらうのはもっとも利益につながる行動です。

Instagram Storyを使うと、生活者と商品の新しい出会いもできます。商品を見せることもそうですが、ほかの手段もあります。

日本に上陸して話題になっているInstagram Shopping。GAP(ギャップ)というファッション企業のように、Instagram StoryにShopping機能を取り込み、アプリ内の購入を誘導させられます。

現在、Instagram StoryにShopping機能の実施は、限られていますが、今後は世界中で展開される予定です。

ちなみに、Swipe-Upの機能を使うと、下記のアクションを生活者に実施してもらえます。

・購入する
・登録する
・他の動画を視聴
・予約リクエスト
・申し込む
・予約する
・お問い合わせ
・ダウンロード
・上映時間を表示
・詳しくはこちら
・音楽を聴く
・メッセージを送信
・メニューを見る
・インストールする
・ゲームをプレイ

Laterより翻訳して引用

4. 生活者の声を使用し、信ぴょう性を帯びる

Mintel社という広告代理店の調査によると、70%のアメリカ人が何かを購入する前に、他人が書いたレビューを参考にするようです。

日本には、食べログのような口コミのポータルサイトがあるため、日本人にとっても重要かもしれません。

生活者の声を使う事例として、海外のビューティーブランドのSupergloop!社。同社は雑誌やオンライン上の記事に評価されるたびに、写真を撮り、Instagram Storyにアップロードします。

一方では、SNS時代だから普及されている UGC(User Generated Content、ユーザーが作成したコンテンツ)。

ファン層の投稿をInstagram Storyに転載されると、選ばれたファンたちの熱狂が高まり、選ばれていない彼らでも出たくなる傾向にあります。

5. ニッチでトップを取る

「◯◯といえば、(企業名)」

「◯◯といえば、(企業名)」とブランド想起してもらえる立場を取るには、ニッチでトップをとる必要があります。

一般人に企業を認識してもらうために、Instagram Storyではいくつかの投稿の見せ方があります。

たとえば、ユーザーから質問をもらって回答するQ&A形式。

Starbucks社がUltra Caramel Frappuccino(ウルトラ・キャメル・フラペチーノ)を発売したとき、ユーザーの質問に答えました。

情報を知りたかった層に情報を提供でき、飲み物を知らない層に知ってもらう機会を設けました。お互いWin-Winですね。

Sephora社(セフォラ)のようなメークアップチュートリアルもよく見かけます。Sephora社は商品の実用性をユーザーに見せることにより、その商品の認知度が高まりました。

広告を情報に変えると、ユーザーのみなさんがハッピーになり、もっと良い世の中になりますね。

Instagram Storyの今後の活用

上記のInstagram Storyの使用法はあくまでアイデアです。実際にどう活用していくのかは、それぞれの企業は決めなければいけません。前編ではInstagram Storyを解説し、現状と今後の動きも分析してみました。

後編では、より具体的な活用法についてご紹介します。


ABOUTこの記事をかいた人

金澤 ジョーダン

広告代理店出身の社会人5年目。アプリ領域の強い代理店から外資系コンサルティング企業に転籍し、オンライン教育事業部の0→1を経験。また、海外メディア企業の日本オペレーションの最高責任者も含めて、フリーランスを応援するWeb媒体のライターとして活動。現在、ビジネスデベロップメントに加え、商品開発や海外リサーチなど、数多くのことを実施中。