「せっかくコンテンツを作ったのに、なかなか見てもらえない――」
これはコンテンツマーケティングに取り組む企業がよく直面する課題の一つです。
コンテンツマーケティングは、ただコンテンツを制作するだけでなく、様々なメディアを活用して適切にコンテンツを配信し、ターゲットに「見てもらう」ための戦略があって初めて成功します。そしてそのために欠かせないのが、メディアに関する知識です。
そこで本記事では、各種メディアの基本的な特性を理解をする上で欠かせないフレームワークである「トリプルメディア」「POEM」「PESO」について、順を追って詳しく解説していきます。
目次
有名な「トリプルメディア」。その起源は「POEM」にあり!?
マーケティングに携わっていれば必ず耳にする「トリプルメディア」という言葉。”トリプル”は、メディアを「ペイドメディア(Paid Media)」「オウンドメディア(Owned Media)」「アーンドメディア(Earned Media)」という3つに分類していることに由来しますが、実はトリプルメディアというのは日本独自の呼び方で、海外では一般的に頭文字を繋げて「POEM」と称されています。
2006年頃、FacebookやTwitterといったSNSが登場したことで、それまで企業から情報を一方的に受け取るだけだった生活者が、自分で気軽に情報を発信できるようになりました。これにより、それまで企業のコミュニケーションの中心だったマスメディアの影響力が相対的に低下し、企業は自社メディアやソーシャルメディアなどを含めた統合的なメディア戦略を必要とするようになりました。そんな中、2009年に米国で提唱されたのが「POEM」という概念です。日本では2010年頃からトリプルメディアという名称でマーケティング担当者の間で広く知られるようになりました。
それでは、3つのメディアそれぞれの定義と特徴を見ていきましょう。
ペイドメディア
ペイドメディア(Paid Media)とは、いわゆる”広告”のことで、各種メディアが用意している広告枠を購入し、そこに広告を配信することでターゲット層とのコミュニケーションを図ります。その大きなメリットは、もともとそのメディアが抱えているユーザー層に対して効率よくアプローチできる点です。
リスティング広告・SNS広告などのデジタル広告
テレビCM・新聞・雑誌などのマスメディア広告 など
しかしペイドメディア(広告)と一口に言っても、その種類は非常に幅広く存在します。
例えばデジタル広告はターゲティング機能やインタラクティブ性(クリック等)という共通の強みを持ちますが、その中には、特定のテーマについて自発的に検索しているターゲットにピンポイントで配信できるリスティング広告、ユーザーの共感を得て拡散する可能性があるSNS広告、メディアのフォーマットに合わせることで広告らしさを抑えることができるネイティブ広告など、独自の特徴を持つ様々な広告が多数含まれます。
一方、マスメディアの広告を見てみても、例えばテレビCMは広く認知を獲得したい場合に有効なのに対し、雑誌広告は特定のジャンルに関心を持つ読者層に効率的にアプローチしたい場合に用いられます。
このように、同じ系統の広告であっても、メディアや出稿先によって特徴が異なるため、それらを正しく理解し、使い分けることが重要です。
ペイドメディアのデメリットとしては、広告費がかかる上に、ある程度のターゲットを獲得してしまうとROAS(広告の費用対効果)が下がってきてしまう点、他のメディアと比較すると資産としてのストック効果が低い点などが挙げられます。
また特に昨今の傾向として、ユーザーの”広告嫌い”が課題になっています。
インターネット広告の普及に伴い、ネット上にユーザー体験を損なう広告が溢れたことを背景に、アドブロックアプリやブラウザの広告ブロック機能などの技術的対応が進んでおり、以前よりもターゲットに広告を届けることが難しくなりつつあります。加えて、広告の配信方法や配信先メディアによってはブランド毀損が生じたり、期待したような成果が得られないといったリスクが増している点も理解しておく必要があります。
オウンドメディア
オウンドメディア(Owned Media)とは、自社が所有・運営するメディア全般を意味します。
日本でオウンドメディアというと、コーポレートサイトとは別に独自のメディアを構築してブログ形式で記事を定期配信する、狭義のオウンドメディアを指すケースが多くなっていますが、本来はコーポレートサイトやメルマガ、紙の広報誌などもオウンドメディアに含まれます。
自社ブランドや自社商品をただ紹介するのではなく、ターゲット層にとって価値のある情報を幅広く発信することで、メディアやブランドのファンになってもらったり、将来的に顧客になってもらうことを目的としています。
コーポレートサイト、ブランドサイト、自社運営ブログ、自社運営メルマガ など
メリットは何と言っても、自社のオリジナルのメディアとして、その世界観を自由に表現し、字数やレイアウトの制約も受けることなく発信できることです。(もちろん、情報の正確性など、最低限守らなければいけないポイントはあります)
一方、短期的には成果が出にくいというデメリットもあります。ペイドメディアのようにもともと読者が多くいる訳ではないため、いちから読者を集める必要があり、一定の成果をあげるには、年単位の長期的な施策として地道にコンテンツを発信し続けることが求められます。
アーンドメディア
アーンドメディア(Earned Media)には、テレビや新聞などでの露出や、SNSでの拡散などが該当し、自社所有でも有料の広告でもなく、無料で第三者によって”稼がれた”メディア(露出)を意味します。
マスメディア等での報道露出、SNSでの拡散、口コミサイト、まとめサイト など
もっとも大きな特徴は、企業自らの発信ではなく、第三者による評価や発信であるため、情報に対する信頼度が高いという点です。そのため企業の担当者には、メディアに取り上げられやすいPRネタの提供や、SNS上で共感を得やすいコンテンツの企画が求められます。
拡散性が高いアーンドメディアは、いわゆる”バズ”や”バイラル”が起きる可能性も秘めていますが、企業側は情報の流通量や質をコントロールできないため、予期せぬ形で情報が拡散したり炎上するケースがあるというデメリットも認識しておく必要があります。
トリプルメディアが進化した「PESOモデル」とは?
それではいよいよ、「PESOモデル」について説明していきます。
PESOモデルはPOEMの考え方を進化させたもので、2010年に米国で提唱されました。
P(ペイドメディア)とO(オウンドメディア)についてはPOEMと同義ですが、それまでのE(アーンドメディア)を、一般生活者起点の「シェアードメディア(Shared Media)」と、プロであるメディア起点の「アーンドメディア(Earned Media)」に分類しています。
シェアードメディアは、Facebook、Twitter、Instagram、LINEなどのSNSや口コミサイトがその代表例で、一般ユーザー間のコミュニティの中で共感や信頼を得ることによって情報が自然拡散されるという特徴があります。オウンドメディアや広告で配信したコンテンツを拡散させる場としても活用されます。
一方、PESOモデルにおけるアーンドメディアとは、マスメディア等を通じてコミュニケーションを図るパブリシティ(いわゆるPR活動)や、有名ブロガーやSNS上のインフルエンサーを活用するインフルエンサーマーケティングなどを指します。
近年はメディアよりも、より消費者にとって身近な存在であるインフルエンサーの影響力が高まっており、インフルエンサーマーケティングに取り組む企業が増えています。
日本では「トリプルメディア」の方が言葉として広く定着している感がありますが、現在の市場においてはPESOモデルの方が実態に即しており、コンテンツマーケティングの施策を整理しやすくなるため、今のうちにその意味をきちんと理解しておきましょう。
コンテンツマーケティングの成功に不可欠なメディア戦略
以上ご紹介してきた通り、近年は多種多様なメディアが存在しており、それぞれにメリットやデメリットがあります。コンテンツマーケティングを成功させるためには、多様なメディアの特性を正しく理解した上で、それらを最大限活かせる戦略を立てることが不可欠です。
サムライトでは、オウンドメディアの構築・運用だけ、あるいはSNSアカウントの運用だけ、ではなく、PESOモデルの全メディアを網羅した戦略設計から実際の運用まで一気通貫でお任せいただけます。コンテンツマーケティングでなかなか成果が出ないとお悩みの方は、お気軽にサムライトまでご相談ください。