YouTube運用担当者が理解しておくべきYouTubeアナリティクスの基本指標10選


こんにちは!サムライトYouTube lab.の川田です。

企業のYouTube活用への関心が高まっていますが、YouTubeチャンネルを成長させ、マーケティング成果を得るためには、現状を正しく理解し、継続的に分析改善を繰り返すことが不可欠です。

そのためにまず必要なのが、YouTubeが無料で提供している分析ツールであるYouTubeアナリティクスを使いこなせるようになることです。

そこで本記事では、企業がYouTubeチャンネルを運用する上で最低限おさえておくべき効果指標10個を厳選し、その指標の意味や、データを見る上での注意点を解説していきます。

動画コンテンツに関する指標

YouTubeチャンネル運用の核となるのが、動画コンテンツそのものです。YouTubeチャンネル運用は、良質な動画を企画制作することから始ります。
まずは、動画コンテンツの質を理解するために重要な指標として4つご紹介します。

視聴回数

再生数/再生回数とも呼ばれる「視聴回数」は、動画に関するもっとも基本的でわかりやすい指標のひとつで、読んで字のごとく、動画が視聴された回数を意味します。同じ人が2回視聴した場合は「2回視聴」としてカウントします。

ユーチューバーやメディア企業のように、動画視聴によって広告収益を得ることを目的にしているチャンネルにとっては、視聴回数を増やすことが最大の目標となります。

しかし視聴回数という数字自体には、人々が再生ボタンを押した回数の合計という意味しかなく、視聴者がどこまで視聴を続け、どれくらいその動画を気に入ったのか、といった要素は含まれていません。そのため、たとえばファンとのエンゲージメントを深めることを目的に企業がYouTubeを活用する場合などは、視聴回数は指標のひとつとして把握はするものの、最重要指標にはならないということを覚えておきましょう。

平均視聴時間&平均再生率

視聴者が各動画をどこまで視聴したかを表す指標が、「平均視聴時間(分秒)」と「平均再生率(%)」です。

平均視聴時間は、視聴者たちがその動画の視聴を始めてから離脱するまで実際に視聴した時間の平均値です。

一方、平均再生率は、その動画の長さに対して、視聴者たちが平均で何%の時点まで視聴を続けたかを示します。例えば4分の動画に対して平均1分視聴されていたら、平均再生率は25%ということになります。

平均視聴時間や平均再生率は、その動画がどれだけ視聴者の興味を引き続けることができたかを示す重要な指標です。YouTubeのアルゴリズムでは、これらの数値が高いほど、視聴者に支持されている動画だと判断し、関連動画や検索などにおいて上位に表示されやすくなります。

またチャンネル内の動画の平均視聴時間や平均再生率を比較することによって、どのような動画が視聴者に好まれ支持されるのかを把握でき、今後の動画コンテンツを企画する際のヒントになります。

視聴者維持率

YouTubeでは時系列グラフの形で、視聴者がその動画をどのように視聴し、どの時点で離脱したかを詳細に示してくれます。

グラフには2種類あり、「視聴者維持率」ではその動画での実際の視聴動向がわかり、「相対的な視聴者維持率」では同程度の長さの他のYouTube動画と比較してパフォーマンスの良し悪しを把握できます。

一般的に、時間が経つにつれて視聴者数は減るため、視聴者維持率のグラフは右肩下がりになりますが、大きく下がっている箇所があれば、そこで離脱またはスキップしている人が多いことを意味します。反対に、山ができていればその部分を繰り返し視聴していることを示しており、何度も見たくなるような内容だったのか、もしくは分かりにくくて何度も見る必要があった可能性があります。グラフの増減の要因を分析し、今後の動画に活かしていくとよいでしょう。

YouTubeチャンネルに関する指標

YouTubeでは個々の動画だけでなく、YouTubeチャンネルとしての質もアルゴリズムの評価対象となるため、YouTubeチャンネル全体の状態を正しく把握することも大切です。YouTubeアナリティクスでは以下のような指標を通して、チャンネルの状態を確認することができます。

チャンネル登録数

「チャンネル登録数」はその名の通り、そのYouTubeチャンネルを登録している人の数を表し、アナリティクスの詳細ページでは、特定の期間に獲得した登録者の推移や、どの動画から多くチャンネル登録を獲得しているかなどを確認することができます。

チャンネル登録者のフィードには新しく投稿した動画が表示されたり通知が届きます。チャンネル登録は今後もそのチャンネルの動画を見たいというユーザーの意思の表れであり、そのチャンネルに対するエンゲージメントの度合いを測る指標のひとつと言えます。

総再生時間

特定の期間において、チャンネル内の動画が視聴された時間の合計が「総再生時間」です。

YouTubeでは総再生時間が長いほどユーザーのエンゲージメントを獲得しているとして、チャンネル全体の評価が高くなるアルゴリズムを採用しています。そのため総再生時間は検索や関連動画、おすすめなどYouTube内での表示順位に大きく影響すると言われています。

総再生時間を伸ばすためには、視聴者を増やすことはもちろん、ひとつひとつの動画をできるだけ長く見てもらうことも大切です。前述の視聴維持率のグラフから、ユーザーが多く離脱してしまうポイントの要因を分析したり、各動画の視聴時間を比較して視聴者が好む動画の内容や長さの傾向を掴むといった対策が必要となります。

ユニーク視聴者数

「ユニーク視聴者数」は、動画を視聴したユーザーのユニーク数で、一人のユーザーが動画を複数回視聴しても、ユニーク視聴者数は「1」となります。

ユニーク視聴者数を通して、YouTubeチャンネルが実際どの程度の規模のユーザーに視聴されているかを理解しておくことも大切です。

また、チャンネル登録者がどれほどエンゲージしているかを把握する上でも参考になります。もしユニーク視聴者数がチャンネル登録者数よりも少ない場合、チャンネル登録していても動画を視聴していないことを意味します。その場合はチャンネルのコンテンツを見直すほか、新着動画に気づいてもらえるよう通知をオンにするよう促すのもひとつの方法です。

デモグラフィック

YouTubeアナリティクスでは、デモグラフィックデータとして視聴者の「年齢」「性別」「地域」が提供され、チャンネルや動画が実際にどのような人たちに視聴されているのかを把握できます。

特定のターゲット層を設定してチャンネルを運営しているのであれば、その層にきちんと視聴されているのか、それともずれてしまっているのかを確認し、最適化を図る必要があります。

流入に関する指標

YouTube動画を視聴してもらうためには、無数の動画が存在するYouTubeの中から動画を見つけてもらう必要があります。そのため、動画の視聴者がどこでその動画に出会っているのか、その動画がきちんと視聴者の関心を引くことができているのか、を把握することも重要です。

インプレッション数

「インプレッション数」とは、YouTube内の検索や関連動画、再生リストなどに動画のサムネイルが表示された回数のことで、サムネイルの50%以上が1秒以上画面に表示されてはじめて1インプレッションとしてカウントされます。

動画をユーザーに視聴してもらうためにはこのインプレッションが不可欠で、インプレッション数を左右するのがここまで説明してきた動画コンテンツやYouTubeチャンネルの評価となります。

インプレッションのクリック率

インプレッション数に対して、ユーザーが視聴するためにサムネイルをクリックした回数の割合が、「インプレッションのクリック率」です。

クリック率が高ければ、動画のタイトルやサムネイルでユーザーの関心をうまく惹きつけることができていると解釈できます。

ただしCTRが高くても、動画自体がほとんど視聴されずに早々に離脱してしまっている場合は、ユーザーが期待したコンテンツを提供できていないということになり、次第に動画の評価も下がっていきかねません。クリック率とともに視聴時間や平均再生率を同時に見ることが必要です。

トラフィックソース

視聴者がどのように動画を見つけたのか、その流入経路を示すのがトラフィクソースです。

YouTube内のトラフィックソースとしては、ブラウジング機能や関連動画、再生リスト、チャンネルページ、YouTube検索、YouTube広告などがあり、YouTubeのアルゴリズムの影響を受けやすいものが多くあります。

一方YouTube外のトラフィックソースとしては、Webサイトやアプリ内に埋め込まれた動画やリンクといった外部ソースのほか、URLの直接入力やブックマーク、SNS、検索エンジンなどが該当します。

もし特定のWebサイトからのトラフィックが多い場合は、そのWebサイトを分析することで、どのような視聴者がその動画に興味を持っているかを推測する材料になり、より視聴者像の理解につながる場合があります。

指標の意味を正しく覚えて、正しく状況を把握しましょう!

YouTubeチャンネルを初めて運用する場合、どうしても再生数やチャンネル登録数の数字に目が行ってしまうかもしれません。しかしそれらは物事の一面しか捉えておらず、動画やチャンネルの状態を正しく理解するためには、今回ご紹介したような様々な指標を通して、立体的に見ることが大切です。

まずはYouTubeアナリティクスに慣れて、基本的な指標を定期的に確認し、PDCAを回せる状態を目指していきましょう。

なお、どの指標をKPIにすべきかは、チャンネル運用戦略によっても変わります。KPI設定についてはまた別の記事で詳しく解説する予定ですのでお楽しみに!

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ABOUTこの記事をかいた人

川田 亮

前職ではTV番組制作会社のディレクターとして、バラエティを中心に様々な番組制作を経験。現在はサムライトのYouTube lab.主任研究員として、動画の分析からディレクション、ライブ配信関係の商品開発などを担当。