スマートスピーカー、音声コンテンツ、VUI、音声AIアシスタント……。
最近このような「音声」に関する言葉を耳にする機会が増えていますが、まだ比較的新しい分野であるため、その意味を正しく理解できている人はまだ少ないかもしれません。しかしスマートスピーカーやスマートアシスタントの普及は確実に進んでおり、マーケティング担当者としては必ず押さえておきたいテーマです。
そこで今回はまず、世界的に注目が集まる音声市場の基礎知識として、用語の解説から国内外の市場状況などについて解説していきます。
目次
音声領域を理解する上で欠かせない3つのキーワード
まずは、音声領域において、最低限理解しておきたい用語の意味を詳しく説明します。
音声アシスタント
音声アシスタント(音声AIアシスタント)とは、ユーザーの声による指示(入力)によって機械を操作したり情報を提供する機能やサービスのことです。一番わかりやすいのが、スマートフォンで何かを検索する際に話しかけるAppleのSiriやGoogleアシスタントではないでしょうか。最近はスマートフォンやPCだけでなく、車、テレビ、イヤホン、自転車など、音声アシスタントを備えたスマートデバイスが続々と登場しています。
世界的に有名な音声アシスタントとしては、上述のSiriやGoogle アシスタントのほか、Amazon社のAlexaが挙げられます。またアジア圏では、LINE社のClovaのほか中国のAlibaba社やBaidu社なども独自の音声アシスタントを開発・提供しています。
スマートスピーカー
音声アシスタントが内蔵されたスピーカーが「スマートスピーカー」です。AIスピーカーとも呼ばれます。2014年、最初のスマートスピーカーであるAmazon社Echoの発売をきっかけに広まっていきました。よく知られているスマートスピーカーといえば、Amazon社のEchoに加えて、Google社のGoogle Homeもあります。
ユーザーはスマートスピーカーに対して声を発するだけで、音楽を流したり、ニュースや天気を調べたり、家電製品の操作をすることができます。デバイスを指で操作するなどの手間を省けるという便利さで支持を集めています。
VUI
VUIとは、Voice User Interface(音声ユーザーインターフェース)の略語で、ユーザーが音声を介してデバイスとやり取りする際のインターフェースを指します。WebサイトのUIやUXは皆さんご存じの通りで、それの音声版と捉えると理解しやすいかもしれません。Webサイトのように視覚的に表現されるわけではありませんが、どのようなVUIを設計するかが、ユーザー体験(UX)を高める上でのカギとなります。
現在のVUI市場
スマホの音声アシスタントを使うユーザーは増えているものの、スマートスピーカーを所有している人は日本ではまだまだ少数派です。しかし世界では普及がどんどん進んでいるようです。
続いては、国内外の市場について簡単にご紹介します。
世界市場
Voicebotによると、2018年時点の世界のスマートスピーカー市場の国別シェアは下記の通りで、アメリカに次いで中国でも普及が進んでいることが分かります。
- アメリカ(42.1%)
- 中国(29.4%)
- イギリス(5.1%)
- その他(23.4%)
ニールセンの調査によると、市場を牽引する米国では、24%の家庭がスマートスピーカーを使用しており、そのうち40%が複数のスピーカーを所有しているようです。
一方、中国市場については、eMarketerは、2017年時点で350万人ほどだったスマートスピーカーのユーザー数が、翌2018年には3420万人まで急増したことを報じています。この背景には、スマートスピーカーの低価格化があります。廉価版の発売のほか、例えば、Alibaba社がTmall Genieというスマートスピーカーを499RMB(約8,275円)から99RMB(約1,641円)に値下げするキャンペーンを展開し、普及を加速させました。
日本市場
一方、日本は他国に比べるとスマートスピーカーの普及に遅れをとっていますが、認知度・興味・保有率ともに上昇を続けています。
電通が2018年12月に実施した調査によると、日本国内のスマートスピーカー普及率は6%ほどで、まだまだこれからといった状況です。
しかし、Marketing Reserch Campが実施したアンケートによると、日本におけるスマートスピーカーの認知度は上昇を続けており、2018年12月時点で82.1%に達しています。
また、MMD研究所がスマートスピーカー非保有日本人男女2,579人を対象に行った調査では、66.3%がスマートスピーカーを認知し、そのうち23.1%が興味を抱いていることも明らかになっており、日本でも今後の普及が期待されます。
ビジネスやマーケティング分野での活用を見据えて
以上ご紹介してきた通り、世界と比較すると日本市場でのスマートスピーカーの普及にはまだまだ時間がかかりそうですが、スマホでの音声検索をはじめとするVUIは確実に私たちの生活の中に入り込みつつあります。そして日本語認識精度などがもっと向上すれば、デバイスも本格的に普及し、私たちの生活に欠かせない存在になるかもしれません。
もちろん、マーケティングへの活用も期待されています。例えばスマホのアプリのように、スマートスピーカー対応のアプリを用意して、音声だけで商品を簡単に注文できるようにしたり、音声コンテンツの中に広告を配信することもできるでしょう。またマーケティングだけでなく、サービスそのものを音声で提供したり、店舗などでのお客様対応にVUIを用いるなど、様々なビジネスシーンでの展開が考えられます。
実際、海外ではすでに様々なサービスやマーケティング施策が立ち上がっています。今のうちに音声分野の情報にアンテナを張り、他社に先駆けて自社ビジネスへのVUI活用を考えてみてはいかがでしょうか?
サムライトでは昨年VUI Lab.を立ち上げ、いち早くVUIの活用に取り組む企業を支援しています。興味のある方はお気軽にご相談ください!