近年ますます市場規模拡大をしている「動画広告市場」。2013年頃からメディアに取り上げられることも多くなり、直近では企業のマーケティング担当者であれば一度は聞いたことのあるワードにすらなってきたと思います。
当初の動画広告といえば「商品やサービスの認知をするため」での利用が多かったのに対して、近年では認知だけでなく顧客化(新規顧客獲得、リピーター獲得)、コンバージョン獲得などの戦略として動画コンテンツが利用されるようになりました。
その結果、様々なコンテンツやサービスが生まれたことにより動画マーケティングのトレンドの移り変わりは異常なスピードで移り変わっています。
今後もコンテンツの多様化やトレンドの急速な変化が予想されるため、
・2018年で何がトレンドになったのか
・どのような変遷で動画広告市場が成長し変化したのか
・それに対してどのような動画マーケティングが適切なのか
以上を把握していることが今後の動画マーケティングにおいて重要です。
そこで今回は、2018年の動画マーケティングの主な動向について、おさらいの意味も込めてご紹介します。
目次
2018年ではどのような動画コンテンツが流行ったのか
まず最初に、2018年においてどのような動画コンテンツが流行ったのか1年間の動きを簡単にご紹介していきます。
①TikTokの流行
②InstagramのIGTVの流行
③他の動画コンテンツのニュース
①TikTokの流行
TikTok(ティックトック)とは「若者を中心に流行しているショート音楽動画共有アプリ」です。女子高生や女子大学生を中心に大流行し、芸能人などのインフルエンサーも利用したことから、2018年の流行語大賞にノミネートするほどになりました。
2018年1~3月(第一四半期)では約4,580万回、と世界でもっとも多くダウンロードされたアプリです。
若者を中心に流行ったTikTokですが、意外にも20代や30代の利用者も増加しています。MMD研究所の調査によると、10代の利用者はわずか13%であることが分かります。
以上のように20代や30代の層の利用者が増加するなど、様々な年齢の様々なコミュニティに所属している人々が利用することでTikTokの流行を後押ししています。
(引用:MMD研究所の調査結果より)
以上のように幅広い年代に利用されているTikTokですが、なぜこれほど人気の動画配信サービスになったのかについてもご説明します。
<TikTokが大流行した理由>
・人気のある投稿を誰もが「マネ」することができるTikTokでは、人気のある投稿を中心にある種の「お決まりのフォーマット」のようなものが文化として形成されます。
TikTokにおける動画の構成要素は、「音楽×ダンスや特定のアクション」の組み合わせで構成されています。
そのため、人気の投稿があると「音楽×アクション」の組み合わせがテンプレートとして作成され、それを多くの人がマネすることで一種の人気投稿の「型」が形成されます。
例えばMartin Tungevaagの「Wicked Wonderland」という曲を利用した投稿には「最初すっぴんなのに、途中でイケメン・美女になる」という一連のギャップを生み出すアクションが「テンプレート」として存在しています。
またTikTokのオリジナルソング「Wink」には、音楽に合わせて「ウインク+口をパッと開ける」という「テンプレート」が存在しています。
このような誰でもマネがしやすい動画コンテンツの構成のため、人気のある投稿をマネすれば誰でも人気の動画を投稿することができること、が魅力になっています。
②InstagramでのIGTVの流行
インスタ映えなどによって2017年も大流行したInstagramですが、2018年の大きな変化としてはIGTVと呼ばれる「インスタ版YouTube」の出現だといえます。
「IGTV」とは2018年6月下旬から始まった、「動画投稿」の新機能です。「インスタグラムテレビ」を略して「IGTV」と呼ばれています。
これまでのInstagramにおいても、動画投稿、ストーリーでの動画投稿はできましたが今回のIGTVはこれまでの動画投稿機能とは大きく異なります。
大きな違いとしては、「投稿できる動画の長さ」です。
ストーリーでは最大15秒の動画を投稿できますが、今回のIGTVでは一般ユーザーが10分の動画投稿、一定数のフォロワーがいると60分の動画投稿ができるようになりました。
長時間の動画投稿機能が備わることで、Instagramで配信できる動画コンテンツの幅が大きく広がったといえるでしょう。
③他の動画コンテンツのニュース
2018年はYouTubeやFacebook、Instagramなどプラットフォーマー以外にもバーティカルな動画で様々なリリースがありました。
7月にはレシピ動画サービスとしてその名を広げた「クラシル」を運営するdelyが、5日に同じく料理動画サイト「mogoo(もぐー)」を手がけるスタートアウツの発行済株式を全て取得。
業界で話題になったのもつかの間、同月の11日にヤフー連結子会社化の発表をするなどそのアグレッシブな動きは記憶に新しいのではないでしょうか。
他にもペットを飼っている人、動物が好きな人をターゲットにし動画を配信している「PECO」では相葉雅紀氏主演のナイトドラマ「僕とシッポと神楽坂」とコラボレーションを発表。
instagramのキャンペーンでよりユーザーのエンゲージメントを高めました。また、昨年に引き続き動画コマースやライブコマースの分野でもサービスが増え、その勢いは止まることを知りません。
なぜ動画広告市場が急成長しているのか
世界の広告市場において、「デジタル広告」が「テレビ広告」を追い抜くという発表が電通イージス・ネットワークスでされました。
(引用:電通イージス・ネットワークプレスリリースより)
電通イージス・ネットワーク(DAN)は、世界ネットワークを通して収集した情報に基づき、59カ国・市場の広告費の成長率を独自に分析・推計しています。
このような背景には以下の3つの要因が考えられます。
●若者のテレビ離れ
特に日本においては若者を中心としたテレビ離れが背景の一つにあると言えます。NHKの「2015年国民生活時間調査」によると、テレビを一日15分以上視聴する人の割合は1995年以降、少しずつ低下していて、近年ではさらに速いペースで減少しています。
YouTubeでのコンテンツの充実や、Amazon、Hulu、Netflix等の動画配信サービスの充実などから、テレビの視聴者は年々減少しています。
●グローバル企業の影響
動画広告の市場規模が大きい欧米を拠点とする企業が、日本で動画広告を採用し始めていることも影響しています。特にグローバルブランドを持つ企業がYouTube上に公式チャンネルを開設し、ワールドワイドで動画広告を配信しています。
●スマートフォン等のモバイル機器の市場拡大
タブレットやスマートフォンなどのモバイル端末のユーザーが増加していることも影響しています。スマートフォンの所持率は2018年では79.4%になっており、多くの国民がスマートフォンを所持し、好きな時にSNSを利用し、YouTube等で動画を見るというライフスタイルが広まっています。
それに伴ってデジタル広告市場が拡大したと考えられます。
まとめ~今後の動画マーケティングの展望~
以上のように2018年では様々な媒体で動画広告、動画コンテンツが充実し、多様化しました。その中でも特に動画広告で目立ったトレンドとしては「キャッチ&ホールド」という手法ででした。
動画冒頭の限られた5秒間という時間で、広告を見ている人の関心を引いてそのあとの長編コンテンツにつなげること(キャッチ&ホールド)、がネット上でのリーチ数を伸ばす鍵になりました。
今後もこのような動画マーケティングはリーチ数を伸ばしていくと考えられ、パソコン上ではなく、1人1人が持つモバイル上へとデジタル広告の市場は推移していくといえます。
そのようなトレンドを踏まえたうえで、顧客1人1人の心に刺さるマーケティングが求められています。