前回の「オウンドメディアを始めるには?設計〜配信までの基礎知識【前編】」では、オウンドメディアの設計からコンテンツの設計に関してお届けしました。
「オウンドメディアの始め方はわかったけど、もっと細かい部分も気になる」
「まだまだ不安は解消されてないぞ!」
という方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回の【後編】では、50本ものメディアの立ち上げに従事された村野さんのご経験を基に、
- コンテンツのネタが尽きてしまった時の打開策
- 差別化するメディアの作り方
- オウンドメディアでの成功・失敗談
- コンテンツマーケティングをやって得ることのできた意外なメリット
について詳しくお話いただきます!
目次
コンテンツ制作|ネタ切れの時はこの2つをすべし。
立原:コンテンツを制作する際の不安の一つに、「ネタが尽きてしまったらどうしよう。」というものがあるかと思うのですが、実際にこれまでネタが尽きてしまったことはありましたか?
村野:あります。でも、特定のトピックを網羅するという戦略のメディアであれば、そもそもネタが切れるということは悪ではないです。
立原:確かにそう考えることもできますね。でもネタが切れたらその後どうしたら良いのでしょう?
村野:ネタが切れた時に、大きく二つできることがあります。
1. 過去に作ったコンテンツのアップデート。
情報は常に更新されていくので、コンテンツのリライトする作業をすることをお勧めします。
2.【To Bの場合】自社の事例・毎月の実績配信、最新の情報調査をしていく。
2.【To Cの場合】積極的にユーザーと接点を作っていく。
例えば、ユーザーにアンケートを取るなどして、ユーザーが何を求めているのか探るのも大切ですね。
ただ、一番やってはいけないことは、無意味にメディアの幅を広げることですね。
無意味に広げることで、サイトの特色が弱まってしまうことがあります。
無意味に広げるのではなく、ユーザーアンケートなどを実施し、ユーザーの求めているものを把握した上で広げていきましょう。
立原:つい幅を広げてしまいがちですが、それはサイトの特色を弱めかねないのですね。
オウンドメディア設計| “ならではの情報”発信で差別化を
立原:メディア設計において、サイトの特色(オリジナリティ)が大事ということはよく聞きますが、上位表示されたサイト群の中で、どこにもない特色を出すというと難しく感じてしまいます。サイトの特色はどのように見出していったら良いのでしょうか?
村野:まず、ノウハウ系の記事や、一般論の説明であれば文章で差別化するのは難しいです。
“特色(オリジナリティ)”と聞くと難しく感じるかもしれないですが、例えば、「誰が発信しているのか」という点で差別化を図ることもできます。
以前に、とあるNPO様を支援させていただいた際に、「働き方」に関するコンテンツを発信していました。
このように、その組織だからこその情報を含めるだけで差別化になります。なので、“ならではの情報”を配信することを意識していました。
立原:そうですよね。難しく考えすぎていたかもしれません。
でも、その特色(オリジナリティ)がユーザーの求めているものであるか?という点は別問題だと思うのですが、その疑問を解消するためにはどうしたらいいのでしょうか?
村野:いえ、そもそもユーザーの求めているものに沿うべきか、ということも、サイトの目的によります。
サイトのファンになってもらうことが必ずしも目的ではないので、目的達成に必要な変化をしていくべきだと思いますね。
もし、ファンになってもらうことが目的なのであれば、今では“信頼される個人”にインタビューするのも一つの手だと思います。
今の傾向でいうと、インフルエンサーの登場などから見られるように「個人」への信頼が上がっています。
そのような背景から、特定領域で信頼できる人に書いてもらう/インタビューすることがユーザーの求められているものを満たす一つの工夫になると思います。
経験談|成功と失敗の分かれ目は目的をブレずに持てるか持てないか
立原:これまで多くのメディアの立ち上げを経験されてきた中で、成功事例はありますか?
村野:成功事例としては、老人ホームのオウンドメディアが挙げられます。
そのクライアント様は、老人ホーム入居者を募っていく目的で、既にポータルサイトを運営しておられました。
また、案件のミッションは、「潜在顧客をポータルサイトで集客すること」でした。
ポータルサイトを運営されていたこともあって、既に顕在的なニーズ(例:「老人ホームに入りたい」という意思のある人…etc)は拾えていました。
しかし、「老人ホームってどこがいいのかな?」「認知症の身内がいるけどどうしたら良いのか…。」という老人ホームに入り得る潜在層にアプローチできていませんでした。
潜在層向けのカテゴリーを設定して毎月5本程度ずつ配信すること二年半。結果的に、きちんと潜在層の集客ができ、問い合わせにも繋がったという例がありました。
立原:とても順調に聞こえますが、成功の秘訣は何だったのでしょうか?
村野:シンプルに、一貫してオウンドメディアの方向性がぶれなかったことかなと思います。担当者の方ともずっと同じ目線で進めることができました。
立原: 反対に、失敗したなあ…という事例では、どんな点が共通していたと思われますか?
村野:やはり、「当初の目的がずれてしまう」ことが失敗する際には多いですね。
担当が変わったり、部署が変わったり、引き継ぎが十分に出来ていなかった等の社内の事情も多いです。
でもプロである私たちが、そのようなお客様の事情を踏まえて解決策を提示できないといけないので、我々の責任でもあると真摯に受け止めています。
経験談|コンテンツマーケティングの副次的効果。思わぬ「声」
立原:コンテンツマーケティングって、根気のいる施策だと思います。これまでコンテンツマーケティングを実施して、予期せぬ効果を実感したことはありますか?
村野:ありますね〜。クライアント様から思わぬ声をいただくことが多いです。
例えば、意図していなかったサービスへも副次的に相談が来たり、「問い合わせの質が上がった」と言われたり、採用面接で「記事読んでいます!」という風に言われたり…意図していなかった効果を聞くことはよくあります。
後は、「クライアント様のお客様が読んでくれていて営業がスムーズになった」などもありましたね。
立原:声によるオウンドメディアの効果って軽視されがちですが、それをどのように評価するか、ということも今後考えていかなくてはなりませんね。
インタビューありがとうございました!
まとめ
- コンテンツのネタが尽きてしまった時には、無意味に幅を広げるのではなく
1. 過去に作ったコンテンツのアップデート。
2.【To Bの場合】自社の事例・毎月の実績配信、最新の情報調査をしていく。
2.【To Cの場合】積極的にユーザーと接点を作っていく。
という二つを実践すべし、ということ。
- 差別化するメディアを作るには、「その組織だから発信できる“ならではの情報”」を配信すること。
- オウンドメディアでの成功・失敗の分かれ目は、一貫して「オウンドメディアの目的」がブレないこと。
- コンテンツマーケティングには、数字だけで測れない信頼によって、「採用」や「新たなビジネスチャンス」を得ることに繋がる。
ということが学べました。
「オウンドメディアを始めるには?設計〜配信までの基礎知識」では、【前編】【後編】を通して、実践的なオウンドメディア/コンテンツ設計の手順から、オウンドメディア運用における細かな悩みや不安に対するノウハウをお届けしました。
この記事で、オウンドメディアを始めようと思っている方々の悩みが少しでも解決できていたら幸いです。
もしこの記事を読んで、「…とは言っても専門家に頼りたい!」「より詳細な情報が知りたい。」という方は、サムライトまでご相談ください。