オウンドメディア立ち上げに際し青山学院が大切にした「土台作り」【クライアントインタビュー】


145年の歴史を有する名門校、青山学院。
箱根駅伝等での活躍もあり、”青学”の愛称で既に高い知名度を誇りますが、今年4月、広報活動のさらなる強化を目的に、オウンドメディア「アオガクプラス」を新たにローンチしました。

サムライトはその立ち上げ支援としてメディアのコンセプト設計やサイト構築等を担当し、現在は青山学院本部広報部がメディアの運営を続けられています。

そこで今回は、広報部の磯貝様と髙木様にインタビューを実施し、すでに認知度が高くブランド力もある青山学院がなぜオウンドメディアを立ち上げるに至ったのか、その背景や現在の運営体制、今後の展望などについてお話を伺いました。

オウンドメディア立ち上げの経緯:
「埋もれがちなコンテンツを発信して青山学院のファンを増やしたい」

――はじめに、オウンドメディアを立ち上げようと考えられた経緯をお聞かせください。

磯貝様:私たち青山学院広報部では、青山学院のことを皆様に知っていただくために、Webサイトや広報誌、学内のイントラなどの媒体を通じて内外に情報を発信しています。

具体的には、在校生やその保護者、卒業生などに向けた広報誌という位置付けで、公式の機関誌「青山学報」を長年にわたって内製しています。またペイドメディアを活用した広告広報にも力を入れてきました。一方、デジタル施策については、2018年5月に学院の公式Webサイトの全面リニューアルを行いました。

それなりにバランスのとれた広報をしてきたつもりではありますが、足りないものは何だろうと考えてみたときに、学院のステークホルダーに限らずもっと広く広報すべきコンテンツがたくさん埋もれてしまっていることに気がつきました。

それらを拾いあげて発信することで、様々な角度から青山学院の良さを多くの人に知ってもらう機会を作れないか、ということを考えたときに、オウンドメディアを立ち上げて、そこで展開する必要があるだろうと考えました。

(左:広報部 部長 磯貝 毅様  右:広報部 広報課 課長 高木 茂行様)

髙木様:青山学院には”都会的””オシャレ”といったイメージがあったり、”駅伝が強い”ということは広く認知されていますが、「我々のブランドはそれだけではないはず」というのが広報に携わる我々の想いでした。

そのため、今までの良いイメージを生かしながらも、青山学院にはユニークな特徴がたくさんあることを広く知っていただくことで、受験生や在校生だけでなく社会全体に青山学院のファンになってもらう、あるいは保護者の皆様にお子様を通わせたいと思っていただく、そんなことをオウンドメディアで実現していきたいと思いました。

オウンドメディア立ち上げ時に注力したこと:
「担当者全員が同じ方向を向くように議論を重ねた」

――メディア立ち上げにあたり難しかった点はどのようなところですか?

髙木様:実は磯貝からオウンドメディアの構想を聞いたとき、私自身はオウンドメディアのオの字も知りませんでした。そのため、まずはオウンドメディアとは何かを理解するために、サムライトさんからレクチャーしていただきましたし、他の大学や企業のメディアもたくさん見て、公式サイトとは何が違うのかを勉強しました。

さらに、自分だけが理解するのでなく、今後メディア運営に関わる広報部内の全員が同じ方向を向けるように、時間をかけて何度もみんなで話し合って、オウンドメディアの目的や運用指針を一緒に考えていきました。サイト名を「アオガクプラス」としたのですが、「プラス」という言葉にどんな意味を込めるのか、公式サイトに対してどのような位置付けにするのかなど、土台作りの部分に相当な時間をかけましたね。

――メディアを長く続けていく上では、担当者全員の意識や目線を揃えることはとても大事ですよね。広報誌制作のノウハウはすでにお持ちですが、オウンドメディアも内製することは検討されなかったのでしょうか?

磯貝様:技術的な面、例えばワードプレスの使い方やサーバーの知識を身に付けることはできたとして、オウンドメディアを100%自前でこの先ずっと運用していくべきか、と考えたときに、それに対する我々の答えは「No」でした。

優れた広報コンテンツを永続的に発信し続けるためには、メディア業界の方のアドバイスはやはりとても貴重です。今回は以前から懇意にさせていただいていた朝日新聞さんに相談してサムライトさんをご紹介いただきました。将来的なことも考えると、どうしてもプロのお力をお借りしたかったのです。

――サムライトからのご提案や進行についてはいかがでしたか?

髙木様:こちらからの要望に色々と応えていただけて満足しております。当初はデザイン案なども複数ご提案いただきまして、それをベースにこちらの要望を伝え、柔軟に対応していただきました。

特にロゴのデザインは素晴らしかったですね。広報部の女性たちからはロゴの評判がとても良かったんです。教職員の間でもサイト全体のデザインの評価が高く、若手の部下は同期の仲間から「カッコいいね」といった声も聞いているようです。

また、適切なカテゴリ数ですとか、小カテゴリはあまり作らない方が良いとか、そういった細かいことから、スマホ対応の視点やSEO対策など、多くの経験値を持つサムライトさんから色々なアドバイスをいただきました。加えて、ワードプレスの構築から投稿マニュアルまで制作していただき、誰でも操作できる、青山学院仕様にカスタマイズされた良いメディアが出来上がったと思っております。

アオガクプラス(https://aogakuplus.jp/)

オウンドメディア運営での工夫ポイント:
「広報誌とは異なる視点の企画やテクニックを積極的に取り入れる」

――現在はどのような体制で運営されているのでしょうか?

髙木様:広報部には我々以外に5名の女性がいるのですが、7名全員が運営に関わっています。コンテンツの企画制作もそうですし、ワードプレスの投稿も画像の加工もすべて自分たちでやっています。最近は動画も始めてみました。そして各コンテンツの担当者以外の全員で校正してから公開しています。

――立ち上げ時から本当に広報部一丸となって取り組まれているのですね。7名も担当者がいると企画のアイデアも色々出てきそうですね?

髙木様:掲載するコンテンツについては当初、広報誌に掲載した記事を転載するという方針だったのですが、やはりそれだけではなく、新たなコンテンツを作る必要があるかなと思い、全員でがんばって考えています。

学院が夏休みに入る前にも皆さんに企画を考えてもらい、それに対してお互いに評価しあう機会を設けました。それを元に現在はそれぞれ担当者が動き始めて、この9月から掲載が始まるかなというところです。楽しみにしていてください。

実は「課長の企画はまだですね」って催促されてしまい、私も考えないといけないんです(笑)。

磯貝様:思っていた以上に、みんな企画を出すのが好きなんですよね。企業ですと運用担当の2人程度で企画を考えるケースが多いのかもしれませんが、全員ちゃんと提案してきますからね。

髙木様:それぞれ企画にも個性があるんですよ。各人が得意分野を持っているんでしょうね。できるだけそれを生かしてあげたいなと思っています。

――特に反響が大きかったコンテンツ、成功した企画などはありますか?

髙木様:例えば、ヱビスビール記念館の端田館長に書いていただいた国産ビールの歴史に関する記事や、世界初のブラックホールの撮影に成功した卒業生の秋山さんの記事は、皆さんが各所にリンクを貼っていただいたこともあり、よく読まれていますね。

また、ラグビーW杯が日本で開催されるということで、本学の初等部のラグビー部が日本最古の少年ラグビーチームらしいという記事を掲載したら、ESPNというアメリカのスポーツチャンネルから取材依頼があったんです。それは残念ながら日程の都合で実現しなかったのですが、つい先日も国内の某新聞社が取材にいらっしゃいました。

旬な話題はやはり反響を得やすいということが分かりましたので、今後も積極的に企画していきたいと思っています。


 
――拡散性やリアルタイム性はWebの強みですよね。それ以外に、広報誌とオウンドメディアの違いを感じた点はありましたか?

髙木様:オウンドメディアでは、記事タイトルの付け方、サブタイトルの有無など、広報誌とは違うテクニックが必要であることを学びました。広報誌の方は無難で当たり障りのないタイトルの方が良いのですが、Webで広く公開される以上は、ある程度インパクトを持たせて、検索にも引っかかるような言葉を入れようとか、そんなことを考えるようになりましたね。

あとは、良質な文章を書く力。広報誌はある程度青山学院のことを知っている保護者や生徒、先生、職員、卒業生などに読んでもらうものでしたが、Webに出る以上、あらゆる人の目に止まる可能性があるので、良質な文章を書く力が必要だなと改めて感じています。

写真については基本的に広報誌用にプロのカメラマンに撮っていただくのですが、広報誌は誌面に限りがありますので、よくある構図のものを数点選ぶという形でやってきました。しかしオウンドメディアではいくらでも掲載できますので撮っていただいたものを色々見てみたところ、広報誌では絶対に使わないような面白いカットが実はいっぱいあることに気づいたんです。「これいいね!載せよう!」みたいなことがこれまでに何度もありました。写真選びについてもそんな発見がありましたね。

オウンドメディアの今後の展開:
「今までとは違う学院の魅力を発見する機会を提供していきたい」

――逆に反省点などは見つかりましたか?

磯貝様:ローンチしてからまだ半年しか経っていませんので、今はまだ反省材料を集めている段階ですね。まだフィードバックするには時期が早いかなと。現在苦労しながらやっている点を来年度以降にどのように改善していくか、という視点で見ていきたいと考えています。

髙木様:公開時はコンテンツが11本だったのですが、今はようやく40本まで増えました。これからもっと充実させてから振り返りたいと思います。

――それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

磯貝様:願わくは、メディア業界、特に新聞業界の方々と一緒に記事作成してみたいと思っています。我々だけでも運用は可能ですが、やはりメディアのプロの方は違う視点をお持ちですので、まったく違うコンテンツができるのではないかと思っています。

あとは、例えば青山学院の初等部では食の教育にも力を入れているのですが、教育方針の中でもそのような特色のある分野を強調できるようなコンテンツも出していきたいですね。

髙木様:アオガクプラスの目的に掲げているように、メディアをご覧いただくことで青山学院に親しみを持ってもらい、身近に感じてもらえることを常に目指して今後も運用していきます。「プラス」はキリスト教の十字架の形を表していますので、青山学院とキリスト教のことなども知っていただき、今までとは違う学院の魅力を新たに発見していただく機会を提供していきたいと思います。

ただし、”自画自賛サイト”にならないようには気をつけたいですね。宣伝感を出さない、公正な視点で記事を書く、本物感を出す、そんなことも心がけていきたいと思っています。

また青山学院の”オシャレで都会的”というイメージは、渋谷・表参道という街のおかげです。地域に根付いた青山学院として、地域の魅力を積極的に発信をしていくことも重要だと考えていますので、学生や教職員、卒業生の協力も得ながら、今後はそんな企画もどんどん出していきたいと考えています。

”広報部全員から企画が出る”オウンドメディア運営が実現した理由

今回のインタビューを通して、オウンドメディア立ち上げ〜運営における様々なヒントを得ることができました。

【青山学院様のオウンドメディア事例のポイント】

  • 目的:埋もれていたコンテンツを活用した広報強化
  • 立ち上げ時のポイント:担当者全員での目線の統一。必要な部分はパートナーを活用
  • 運用のポイント:Webの特性を生かしたコンテンツ企画やテクニックの習得
  • 今後の展望:これまでとは違う青山学院の魅力を新たに発見できる情報の発信

 
磯貝様のお話にもあったように、既存のステークホルダーだけでなく社会に対してより広く情報を発信し、新しいファンを獲得するための広報活動では、オウンドメディアは有効な手段の一つになり得ます。特に教育機関のように、日々多くのコンテンツが生まれやすい環境ではそれを活かさない手はないでしょう。

また、広報部がこれまで培ってきたコンテンツ企画編集力を活かしつつ、メディア構造やSEOなど内製では知見が足りない面においてはパートナーの支援を得ながらスタートされたように、自社のスキルや資産と外部リソースをうまく組み合わせることが、立ち上げから運用へのスムーズな移行を実現できた要因となったかもしれません。

そして、皆さんから企画案が出るほどメディア運営がうまく回っているのは、立ち上げ時に全員が集まり、メディアのコンセプトや方針などについて時間をかけてトコトン議論し、全員が同じ目線を持ってスタートできたからではないかと推測されます。インタビュー時も、皆さんが楽しそうに取り組まれている様子がとても印象的でした。

立ち上げ時にいかに目的や方針を明確にし、関係者で共有するか――。オウンドメディアを成功させる上で押さえるべき重要なポイントであることは間違いなさそうです・・・!
 
 
サムライトでは、企業のオウンドメディアを数多く支援してきた経験を生かし、教育機関等のコミュニケーション課題の解決も積極的にサポートしております。これからメディアの立ち上げを検討していきたい方、あるいは現在運営しているメディアに課題を抱えている方、ぜひお気軽にご相談くださいませ。

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